今クールは刑事ドラマが8本もあるが、なかでも木曜9時対決の『MOZU』と『BORDER』の2作品が話題だ。
『MOZU』は、爆破事件で妻を亡くした公安の倉木刑事(西島秀俊、43才)が犯人を追い詰めていく、逢坂剛さん原作のハードボイルドなサスペンス。西島の脇を香川照之(48才)、長谷川博己(37才)といった実力派が固め、ダークトーンの映像で映画顔負けの重厚な作りだ。
また、このドラマの売りのひとつが、ほぼ毎回出てくる西島のマッチョボディー。腕立て伏せするシーンでは、タンクトップから見える上腕二頭筋に多くの女子が悶絶した。
4月24日放送の第3話は、強引な捜査で真実に近づこうとする倉木が敵に追い詰められた。倉木は、タクシーで同僚の明星(真木よう子、31才)宅に向かう途中、敵の車に追突される。血まみれになりながらも明星宅にたどり着き、白いワイシャツを脱がされて、応急処置を受けるが、そこでも半裸(血+包帯付き)を存分に披露。
サスペンスとセクシーのドキドキ一挙両得と呼び声高かったが、コラムニストの今井舞さんはこの第3話がターニングポイントだったと指摘する。
「第2話までは抜群におもしろかったのに、第3話は中身がなかった。倉木がただ追突されて、明星の家に行って、無意味に裸になるだけ…。裸は、もっとさりげなく見せてくれないとダメです。“冷やし中華始めました”みたいに“西島の裸あります”という張り紙をされても…。“第3話は裸があるから見てください”という制作者の意図が透けて見えて興冷めでした」
骨太なストーリー展開での巻き返しに期待だ。
一方、回を重ねるたびに視聴率上昇中なのが、『BORDER』だ。ある事件をきっかけに死者と対話できるようになった刑事・石川(小栗旬、31才)が、その能力を使って、殺人事件を解決していく一話完結型。原作なしのオリジナルドラマで、『SP』(フジテレビ)の脚本でも知られる直木賞作家・金城一紀氏が脚本を手がけている。テレビコラムニストの山田典昭さんはこう見る。
「死者の声が聞ける刑事ドラマなんて、犯人がすぐにわかって事件にならない。刑事ドラマの禁じ手といえるでしょう。だが、それを見事に事件に“料理”している。第2話では、自殺した誘拐犯と対話しながら、被害者の女性を見つけ出す心理戦を繰り広げました。24時間以内に見つけないと被害者が凍死してしまうストーリー展開で、ハラハラドキドキでした」
続く第3話では、殺害された男性が石川に伝えた加害者とは、まったく別人が犯人という、これまた意外な一手を打ってきたのだ。
「毎週凝ったストーリー展開で一話完結。しかも、最後に犯人が逮捕されるので爽快感もあります。今後も視聴率は上がっていくでしょう」(山田さん)
第4話では、ついに『MOZU』を抜いて12%を記録した。ただ、山田さんは、ドラマのタイプが違うのも、視聴率逆転の理由のひとつと分析する。
「『MOZU』は非常に重厚な内容で見応えがあります。ただ、倉木が妻や娘を亡くしてたりして内容が重い。木曜9時に見るのにはパワーを使います。だから、リアルタイムでは『BORDER』を見て、『MOZU』は録画で見るかたが多いのではないでしょうか」
※女性セブン2014年5月22日号