先日来日したアメリカのオバマ大統領が明治神宮に参拝した意味を日本のマスコミは正しく報じなかった。国家神道に敬意を示したとか、日韓併合を決めた明治天皇を評価したことになる、などと日本に都合のよい解釈をする右派論客やネット上の保守派が多かったようだが、実際には全く逆で、これは安倍晋三首相らの靖国参拝に対する強烈な抗議の意思表明である。
明治神宮には2002年にブッシュ大統領も参拝したが、その時の経緯が今回の真相を教えている。
ブッシュ氏は当初、対テロ戦争協力への返礼の意味も込めて、小泉首相がこだわる靖国神社への参拝を申し出た。戦勝国アメリカの大統領が参拝すれば、中韓も批判の根拠を失う可能性があった。しかし、当時の政府はそれを決断できず、日本側から要請して明治神宮に変更してもらったのだ。
つまり、米側から「明治神宮に行きたい」と言ってきた今回の真意は、「我々は靖国神社には決して行かない」というメッセージなのである。現実を直視すべきだ。
※SAPIO2014年6月号