5月9日、春の叙勲の大綬章勲章親授式が宮中「松の間」で行なわれた。22種の栄誉のうち、その頂点に位置するのが「大勲位菊花章頸飾」(だいくんいきっかしょうけいしょく)。これは、明治21年に制定され、現在に至るまで最高勲章に位置付けられる。戦後は天皇のみが佩用(勲章を着用すること)されている。
皇族や外国の国家元首以外の叙勲は極めて少なく、生前に授与されたのは、伊藤博文、大山巌、山縣有朋、松方正義、東郷平八郎、西園寺公望の6名のみ。戦後の生前叙勲は一例もなく、内閣総理大臣を長く務めた吉田茂と佐藤榮作の没後叙勲にとどまっている。
「頸飾」とは頸飾りのことで、すべての勲章の中で唯一22金製。頸飾部分は古篆字の「明」と「治」。菊の花葉をそれぞれあしらった3種類の金具が楕円につなげられ、その中央には菊花が配されている。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年5月23日号