観客動員数1000万人を超え、歴史的なヒットを記録している映画『アナと雪の女王』。吹き替え版で女王役を演じた松たか子(36才)は、今や女優として以上に歌手として注目を一心に集めている。そんな彼女歌を勧めたのは、父の松本幸四郎(71才)だ。都内の自宅前で、本誌が『アナと雪の女王』という言葉を出すと、彼は笑顔を見せて、快く取材に応じてくれた。
なぜ幸四郎は松に歌を勧めたのか。その原点にあるのが、幸四郎が27才のときに、単身、ニューヨークのブロードウェイに乗り込んだミュージカル『ラ・マンチャの男』での経験だった。
「向こうのスタッフ、俳優さんと2か月間、全編英語でやったんですね。あの時の苦労、そして達成感…。その経験のすべてが一生の財産になったんです」(幸四郎)
幸四郎がこう続ける。
「ぼくには3人の子供がいます。歌舞伎は長男の(市川)染五郎(41才)が受け継いでいるし、小劇場での舞台は長女の紀保(42才)が継いでくれました。
そして、ぼくの音楽への想いを継いでくれた子供…。それが、たか子だったんです」
幼少期から松田聖子(52才)にのめりこみ、中学に入るとアイドルソングだけでなく、エアロスミスなどのロックバンドにもハマるなど、松は3きょうだいのなかでもひときわ音楽に対する感受性が豊かだった。
「だからこそ、ぼくはたか子に歌を勧めたんです。ぼくには、彼女を歌の世界に飛び込ませた責任がありますから、それはもう、彼女の歌の成功を誰よりも願ってきました。
そして今、たか子が歌う『ありのままで』を聴いて…。27才のぼくがブロードウェイで『ラ・マンチャの男』をやったかけがえのない経験は、たか子のこの歌を聴くためにあったんだ…と、はっきりとわかったんです」(幸四郎)
こうして、父の願いを歌に乗せ、『アナ雪』を大ヒットに導いた松だが、この映画の成功は、ミュージシャンの夫・佐橋佳幸(52才)と幸四郎の関係にも変化をもたらしていた。
2004年の交際発覚当初から「16才も年上で、しかもバツイチのミュージシャンなんて!」と猛反対していた幸四郎は、当然、佐橋との結婚など許せるはずもなく、その後幾度となく「娘の結婚の話は一切しない!」と、メディアの前で公言してきた。
しかし今回、本誌が佐橋との関係について、幸四郎に話を向けると、意外な答えが返ってきた。
「彼にもよく会ってますよ。たか子の夫婦はよく実家に来るんですよ。家に来ると、ふたりは夢中になって仕事の話ばかりするんですけどね(笑い)。たか子の歌についてもね、ちゃんと専門の先生がついているんだけど、ミュージシャンである彼の支えもあったんでしょう」
実際、松は佐橋と交際してからは、彼の影響でポップスからR&B、カントリーまで、あらゆるジャンルの音楽を聴くようになり、結果的に彼女の音楽の才能は底上げされることになった。
『アナ雪』の成功を前にして、幸四郎もようやく娘婿の存在を認め始めたようだ。
※女性セブン2014年5月22日号