読売ジャイアンツ・原辰徳監督と、チームの顔ともいえる坂本勇人、阿部慎之助の間に、微妙な空気が流れているという。
「原因は原監督の非情采配にあります。常にチーム内の競争を煽るのが原監督のやり方とはいえ、最近は少し選手がかわいそうに思える内容が目立つのです」(スポーツジャーナリスト)
まずは坂本だ。5月1日のヤクルト戦、坂本はスタメンから外された。
「試合前の練習中、原監督から“勇人!”と呼ばれてしばらく話をしたかと思うと、打撃練習をしないままベンチ裏に引っ込んでしまいました」(巨人担当記者)
開幕からフル出場を続け、チーム3位の高打率を残していた坂本のスタメン回避は、それだけでも大きなニュースだったが、記者たちの関心はもう一つあった。彼が2009年からこの日まで続けていた、662試合の連続出場記録だ。球団では松井秀喜氏の持つ1250試合に次ぐ歴代2位の数字。しかしその記録は、何とも情けない形で終わる。
同点で迎えた6回裏、1死二、三塁。代打・高橋由伸が決勝タイムリーとなるヒットを放つと、その代走として坂本が出された。
「しかしルール上、代走では連続出場資格を満たすことができない。代走後再び交代したために記録はストップ。ベンチの勘違いだったようですが、あまりにもお粗末すぎました」(同前)
前出のジャーナリストが続ける。
「片岡治大と井端弘和を獲得し、二遊間が厚くなってから、どうも坂本への当たりが強くなったように思います。この日の試合後も、原監督は“(坂本は)また新しいスタートを切ればいい”と突き放しています」
また、これは阿部に対しても同様だという。最近は新人の小林誠司を重用し、5月2日からの名古屋遠征では、捕手の加藤健を一軍登録しないまま帯同。おまけに阿部について、「打率も2割ちょっとだからな。小さなオムスビ。すぐに(相手に)食べられちゃうだろう」と酷評する始末だ。背景には、次期監督候補に松井氏の名前が挙がっていることが大きいとされる。
「優勝を逃せば即更迭というムードがある。だからハッパをかける意味も込めて、厳しく当たっているのかもしれません」(前出の記者)
それでも選手の人心をうまくコントロールできれば良いが、ここに来て起きた予期せぬアクシデントが、雲行きを怪しくしているという。父の貢氏が心筋梗塞で緊急入院したため、原監督が5日、異例の試合欠場をした件だ。
「指揮官が親族の入院で欠場とは聞いたことがない。親の死に目に会えないというのがこの世界の宿命で、皆覚悟しているはずだ。生え抜きに厳しさを見せながら、自分には甘いといわれても仕方がない。今後の“非情采配”への影響が心配され、チームを揺るがしかねない」(巨人OB)
火種は監督の周辺にあるというのが、巨人の弱みかもしれない。
※週刊ポスト2014年5月23日号