特別養護老人ホームの待機者は52万人にのぼり、年々増え続けている。特養に入りたいが入れず、さりとて有料老人ホームは高過ぎて入れない──。
そんな悩みを抱えている人々の間でいま注目を集めているのが、「サービス付き高齢者向け住宅」、通称「サ高住」である。
サ高住とは、「高齢者住まい法」で規定された、必要最低限の高齢者向けサービスが付帯した民間の賃貸住宅である。特養の入所待機者の増加を背景に急激に数を伸ばし、2012年4月時点で4万2000戸だったのが、2014年4月には14万7000戸と激増。まさに建設ラッシュが起きている。
サ高住の入居条件は60歳以上(※要介護・要支援認定を受けている場合は60歳未満でも入居可能)であることだけで、要介護度に関係なく誰でも入れる。館内及び部屋はバリアフリーで、部屋の広さは原則25平方メートル以上と規定されている(共有スペースに食堂や浴室などを設ける場合は18平方メートル以上となる)。
日中は、館内にケアの専門家(一般的にはヘルパー2級以上)の職員が常駐して、安否確認と生活相談のサービスを提供する。ただし、特養や有料ホームのように介護や食事、健康管理などのサポートはセットではなく、必要に応じて介護事業者を自分で選んで契約する形になる。ケアマネジャー事務所や訪問介護事業所、デイサービスなどを併設するサ高住も多い。
自宅で生活するのと基本的には同じなので、寝る時間や起きる時間、食事の時間などを自分で決められ、外出も比較的自由だ。
高齢者住宅の運営コンサルティングや情報提供を行なっているタムラプランニング&オペレーティング代表取締役の田村明孝氏は、サ高住の利点をこう語る。
「最大のメリットは、賃貸借契約のため入りやすく、出やすいということと、費用が安いことです。
有料老人ホームと違い、サ高住では一部を除き、入居一時金を取られることはなく、入居時に敷金や前払い家賃として10万~30万円を支払うところが一番多い。月額費用は家賃、共益費、生活相談費に1日三食の食事サービスを加算した金額で、サ高住全体の65%が、月9万~15万円の範囲に収まります」
特養の場合、月額は要介護度に応じて5万~15万円ほどなので、ほぼ同じぐらいといえる。
※週刊ポスト2014年5月23日号