東日本大震災を理由に時限立法で実施されていた議員と公務員の給料削減を安倍政権が打ち切ったことにより、この4月から国家公務員の給料は平均8%引き上げられ、行政職平均のモデルケースでは月額約2万9000円、ボーナスを含めた年収では約51万円のアップ、国会議員の歳費(給料)はもっと増え、5月分から月額約26万円アップ、年間421万円もの引き上げになる。
シロアリ官僚たちが被災地とは関係ない天下り先への補助金や庁舎の補修、無駄な公共事業などの官僚利権を太らせるために復興予算を流用したため復興予算が不足しているにもかかわらずだ。この予算流用を見逃した政治家の責任はさらに重い。実は、安倍首相は議員歳費削減に関して国民に一つの約束をしていた。
日本維新の会、みんなの党とともに「議員歳費3割削減」法案を提出した結いの党の柿沢未途・政調会長が指摘する。
「衆院解散前の2012年11月の党首討論で、当時の野田首相は自民党総裁だった安倍さんに『定数削減をやり遂げるまでは議員歳費の削減を続ける』と提案し、安倍さんも『約束しますよ』と大見得を切った。
議員定数を大きく減らして身を削ったならまだしも、安倍首相はその約束を知らんぷりして、消費増税のタイミングで歳費を元に戻した。月額26万円アップといえばサラリーマン1人分の月給に相当します。国会議員だけ身を削らずに歳費をそんなに上げるのを国民が許すはずがない」
その通りなのだ。公務員の給与削減打ち切りで総理大臣の年間給与は法律上、1179万円上がるが、安倍首相は閣僚懇談会で首相と大臣、副大臣など政務3役は「当面の間」、給料アップ分を自主返納することを申し合わせた。しかし、議員歳費分の年間421万円アップはちゃっかりいただくのである。
国会議員と役人は「もう国民と痛みを分かち合う必要はない」というのだから、彼らにすればまさにアベノミクスさまさまだろう。
※週刊ポスト2014年5月23日号