特別養護老人ホームに入りたいが入れず、さりとて有料老人ホームは高過ぎて入れないという悩みを抱えている人々の間でいま注目を集めているのが、「サービス付き高齢者向け住宅」、通称「サ高住」である。
サ高住とは、「高齢者住まい法」で規定された、必要最低限の高齢者向けサービスが付帯した民間の賃貸住宅である。
サ高住は、法で規定されているのが部屋の広さや職員の常駐など最低限の部分だけ。それ以外のサービスは多様なので、事前に入念なチェックが必要である。
高齢者住宅の運営コンサルティングや情報提供を行なっているタムラプランニング&オペレーティング代表取締役の田村明孝氏と、ケアマネや地域包括支援センター職員などへの研修を年間100回以上行なっているケアタウン総合研究所代表の高室成幸氏に、サ高住選びで重要な「24時間ケア」についてのチェックポイントを聞いた。
法の規定では、夜間は職員がいなくても構わないことになっている。実際に誰もいないサ高住もあれば、逆に「24時間ケア」をウリにするところもある。
「夜間に職員が常駐しないサ高住は多いですが、宿直でも構わないので、緊急通報に対応できる職員がいるほうが安心。緊急通報が警備会社にも届き、専門のスタッフが駆けつける体制であればなおよい。
また、建物に併設されている訪問介護事業所や、近くの訪問看護ステーションが24時間定期巡回を行ない、入浴や排泄、食事などの介護や、日常生活上の緊急時の対応などをしているところもあります」(田村氏)
つまり、「24時間ケア」といってもさまざまあり、どのような中身なのかを確認することが大事である。
「問題のあるサ高住の場合、併設のケアマネ事務所のケアマネが経験1~2年という新人だったりします。ケアプランに必要以上の過剰サービスを入れることを強要されるため、ベテランが働きたがらず、すぐに辞めてしまうからです」(高室氏)
新人だから即ダメというわけではないが、注意したほうがいいという。母親(82)が入居するサ高住を3度引っ越しさせた男性(58)はこういう。
「24時間見守りで、夜間は警備員が常駐しているが、まったく介護の知識がない人だったことがあった。緊急時の医療体制についても、形だけの診療所で、看護師も訪問看護だったりして、夜間の急変時に対処できないところも多いのです」
ただし、サービスが充実しているほど一般に料金は高くなり、24時間定期巡回サービスなどを利用する場合も、利用料を介護保険で支払う(1割負担)ことも覚えておきたい。
※週刊ポスト2014年5月23日号