今年の広島カープ快進撃の原動力は、セ・リーグ首位打者を争う4番・エルドレッドの打棒といって間違いあるまい。追いかける阪神ではゴメス、巨人ではアンダーソンが、それぞれ3割を超える打率をキープしている。外国人助っ人の力が、ペナントの行方を左右するケースは少なくない。
その一方、期待された外国人選手が、球団やファンをガッカリさせることが多いのも事実だ。メジャーでの輝かしい成績を背負って来日したにもかかわらず、日本ではまったくの期待外れだった選手は枚挙に暇がない。
たとえば1968年、フィリーズでメジャーデビューを果たし、1973年からはブルワーズの遊撃手として活躍、1976年からは3年連続でオールスターに選出されたドン・マネー。36歳だった1983年のオフに現役引退を表明していたが、近鉄が提示した2年2億2000万円の条件に誘われて来日した。
しかし帯同した妻がホームシックにかかった上、球団が用意した住居にゴキブリが出たことが決定打となり、4月下旬には「カネは返すから」といって去って行った。
また、プエルトリコ出身のレスカーノは、1987年に33歳で大洋に入団。メジャー5球団で1122安打、148本塁打を放っていたが、この年の5月、「時速140キロの球が怖くなった」と言い出して退団、そのまま引退している。
そして、阪神が1997年に獲得したグリーンウェル。キャンプの不調でチームへの合流が遅れ、5月デビューしたが、7試合目に自打球を足に当てると、「野球を辞めろという神様のお告げ」と突然の引退表明。
レッドソックス出身の33歳ベテラン外野手に阪神が払った契約金は、球団史上最高の3億円。長い名前を表示できる電光板を新調してまで迎えた“期待の新戦力”はあっという間に消えた。
※週刊ポスト2014年5月23日号