近年、バラエティ番組の2時間スペシャルが激増している。特に4月の改編期は多くの特番が続いた。新番組の『林修の今でしょ!講座』(テレビ朝日系)や『クイズ30~団結せよ』(フジテレビ系)は、いきなりスペシャル放送からの開始となった。この背景についてテレビ局関係者が話す。
「人気番組が集まる特番よりも、新番組をまず長尺で放送するほうが宣伝になる。“人気番組集合”のなかで軽く紹介されただけでは、新番組の良さが伝わりづらい。それならば、いきなり2時間スペシャルでスタートしたほうがいいという判断です」
新番組以外のスペシャル番組を見ると、以前であれば、高視聴率番組の特番を組むケースが多かったが、最近は視聴率の芳しくない番組でも、長時間スペシャルをオンエアするケースが目立っている。
「長い時間放送することで、普段観ない視聴者の目に止まることを期待しているのです。『解決! ナイナイアンサー』(日本テレビ系)は当初、数字が上がらなかったが、特番で新たな視聴者を掴み、通常放送の視聴率が伸びた。その例に、他番組は追随していった」(同前)
その背景には、昨今のテレビ業界を取り巻く事情もあるという。
「全体的に視聴率自体が低くなっているから、新番組を始めるよりも、既存の番組をテコ入れしたほうがいいという風潮がある。昔なら確実に打ち切りレベルの低視聴率を記録しても、最近では終わらない番組も少なくない。
もちろん局が好調かどうかにも左右されるが、特にフジやTBSは新番組スタートに及び腰になっています。実際、視聴率8%前後の番組を辞めて、ゴールデンタイムで3%台まで落ちた経験もある。人気芸人を使って、その数字だったので、関係者は青ざめていたし、今ではなかったことのようになっていますけどね……」(放送作家)
特番増加の目的は、既存番組のテコ入れだけでなく、新番組スタートに及び腰になっている局の姿勢もあるようだ。