プロ野球交流戦が始まる。物事をなんでも野球にたとえるのはおっさん……いや、大人ま流儀。ここはひとつ、「大人の交流戦」に持ち込みたい。大人コラムニスト・石原壮一郎氏が語る。
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プロ野球では、5月20日(火)から「日本生命セ・パ交流戦2014」が始まります。交流戦も今年で10回目。5月15日現在、セ・リーグの上位は広島、阪神、巨人、パ・リーグの上位はソフトバンク、オリックス、日本ハムという順番です。さて、およそ1ヶ月にわたる交流戦が終わったあとは、どういう顔ぶれになっているでしょうか。
大人の男として身につけたいのが、何でも野球に例えて話すという伝統の技。部下にアドバイスを求められたら「よし、ここは手堅く送りバントで行こう」と言って安全策を勧めたり、上司が面白くないダジャレを言ったら「今のは外角低めギリギリですね」といった表現でいちおう持ち上げているフリをしたり、といった類のアレです。
会話の中にさりげなく織り込めば、大人の貫録や覚悟を醸し出せること請け合い。若造は、それを「おっさん臭さ」と呼ぶかもしれませんが、長年にわたって伝えられている野球ネタの様式美や、大人同士のコミュニケーションを円滑にしてくれる効果の大きさを理解できていないだけなので、気にする必要はありません。
さて、そこで交流戦です。今の時期にしか使えない、今の時期に使ってこそ色鮮やかに輝くネタだけに、果敢に繰り出すのが大人の心意気です。
いろんな部署のメンバーが集まった飲み会のときは「おっ、今日はセ・パ交流戦ならぬ、1課2課の交流戦だな」と言って盛り上げるのは序の口。お店に入ってからも「じゃあ、カツオのタタキを指名打者ってことで。この店がパ・リーグかセ・リーグかは知らないけどね。アハハハ」と、強引に交流戦ネタを繰り出してテンションを上げましょう。
交流戦のこの時期は、気合いを入れて合コン的な飲み会を企画するチャンスでもあります。中年と呼ばれる年齢になると、女友達に「メンバー集めて合コンしようよ」とは言いづらいもの。しかし「たまには交流戦なんてどう?」と持ちかければ、無理に若ぶっていると思われる心配はありません。相手も落ち着きのある年齢の場合は、「ま、なんて小粋な人かしら」「あら、シャレた言い方するじゃない」と胸ときめかせてくれるはず。
さらに積極的に活用したいのは、下心を秘めたデートのとき。いい雰囲気になってきたら、おもむろに「プロ野球も交流戦をやっていることだし、ここはひとつ大人の交流戦なんてどうだろう」と渋く誘いましょう。ドライブなどで昼間から一緒にいる場合は、適切なタイミングで「このまま夜の交流戦もどう?」と言ってみるのがオススメです。
それまでのデートがいまいち盛り上がっていなくても、一発逆転の大ホームランを打てるかもしれないし、あえなく空振り三振に終わるかもしれません。いずれにせよ、バットを全力で振らないことには始まらないのは確か。ちょこんと当てに行くような消極的なバッティングをしていたらバットが泣くというものです。いろんな意味で。