31年半続いた長寿番組『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が終了して1か月以上経ったが、最近のテレビ界を見渡すと、長寿番組の健闘が目立つ。1966年5月開始の『笑点』(日本テレビ系)は相変わらず週間視聴率ランキングの上位に位置し、1971年1月開始の『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)、1989年10月開始の『噂の東京マガジン』(TBS系)は日曜の昼帯で毎週のように2ケタ視聴率を記録している。
いずれも最盛期と比べれば、数字は下がっているが、テレビ界全体の視聴率低下を考えれば、立派な数字。時間帯を変えずに来たことが、高視聴率維持の原因だという分析もある。
「テレビ視聴のキッカケは、数パターンに分かれます。新聞のテレビ欄やテレビ備え付けの番組表で決める人、たまたまチャンネルを合わせた人、習慣で観る人。雑誌やネットの宣伝を元にする人もいれば、最近はツイッターのつぶやきを起点にする人もいる。
テレビマンにとっては、習慣で観る人がありがたい。こちらが改めて動機付けをしなくても、スイッチを押してくれるわけですからね。そもそも多くの人は、ルーティンをあまり変えたがらない傾向がある。その証拠に、『笑点』『新婚さんいらっしゃい』『噂の東京マガジン』は、放送開始数年後に、後ろに時間帯がズレただけ。その後、数十年も同じ枠で続いています。
知っての通り、深夜からゴールデン帯に移動して終わる番組は数知れない。やはり、曜日や時間帯の変更は危険なのです」(テレビ局関係者)
現在放送中の長寿番組でも、時間帯を変えたことで、視聴率がガクンと下がったケースがある。
「1989年10月開始の『所さんの目がテン』(日本テレビ系)です。10年ほど前は、日曜の朝7時の放送にもかかわらず、2ケタを取ることも珍しくなかった。しかし、2009年4月に土曜17時へ移動してから様相が変わった。昨年4月から日曜7時に戻しましたが、最近の視聴率は6%くらい。かつての勢いはなくなっています」(同前)
それでも、今後は長寿番組がさらなる長寿番組となる可能性が高まっているという。テレビ局関係者が続ける。
「最近、テレビを観ない人が増えている。そのなかで、誰でも知っている番組を、あえて切る必要性が感じられないのです。仮に視聴率が奮わなくても、新番組を始めるよりも、馴染みの深い長寿番組で挽回策を練るほうが得策という判断です。
『いいとも』の後番組として始まった『バイキング』の不振が続いていますが、そうした事例も長寿番組の“さらなる長寿化”に拍車をかけそうです」(同前)