興行収入170億円を突破、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンの歴代興行収入1位、日本歴代興行収入も『アバター』(156億円)を抜いて8位と、次々に記録を塗り替えている『アナと雪の女王』が大ヒット公開中だ。
原題は『FROZEN』なのに、なぜ邦題は『アナと雪の女王』なのか。そこには、“日本人だからこそ”ハマる戦略があった。
そもそも、“アナ雪”には、ディズニー映画3つの“初”がある。長編アニメーションでは初となる女性監督の起用。アカデミー賞長編アニメーション賞を主題歌賞とW受賞。そして、長編アニメーション史上初のWヒロイン。このWヒロインを強く打ち出しているのは日本だけ。
海外では、雪だるまのオラフやトナカイのスヴェンのキャラクターを打ち出し、ファミリー向けの展開をしている。 しかし、日本人のツボをついた。
「エルサの“ありのままで”を歌う姿に、なんだか励まされる」(43才・主婦)
「姉妹のキャラクターが現代的。アナを傷つけることを恐れるエルサと、独りが寂しいアナ。愛し合っているのにすれ違う家族というテーマは、大人にこそしっくりくる!」(35才・看護師)
そして、実は、“アナ雪”の構想は、創設者のウォルト・ディズニーが抱いていた!?
との説もある。アンデルセンの童話『雪の女王』(1845年発表)は、故ディズニーが映画化を切望していた作品。企画が出てはたち消えていたが、6年前に企画が本格化。
原案となる『雪の女王』では、心が凍ってしまった少年カイと、彼を救おうとする少女ゲルダの物語で、このゲルダがアナのモデルになっている。そして、アンデルセン版でミステリアスな雪の女王がエルサに。
このエルサ、企画初期の段階では悪役だった。しかし、アナと姉妹にすることで葛藤を抱えた人間味あふれるキャラクターに。
そして、決定打となったのが挿入歌・『Let It Go』。エルサへの共感を呼ぶあの歌ができたことで、キャラクターも変化した。
現在の“妹を愛しているから傷つけないために距離を置こうとする”という、複雑で、魅力的なキャラクターが誕生した。
ディズニー映画といえば映像美。今回は、透き通った氷や吹きつける雪といった、さまざまな表情の“雪と氷の世界”を見事に表現。雪の結晶だけで2000種類も。そして、132時間もかかった1コマもある。
スタッフはエルサとアナ姉妹のように、雪の上をロングスカートで歩き、足跡のパターンや衣服への雪のつき方も研究した。
また、表情の豊かさにも注目。キャラクターのアニメーションがある程度できあがってから、イディナ・メンゼル(米国版エルサ役)が歌っている表情筋や息づかいに合わせて、実際のキャラクターに落とし込んでいる。
※女性セブン2014年5月29日号