ついにブラジルW杯を戦うメンバーが発表された。前回大会のベスト16以上の成績を残すことはできるのか。日本代表の最多得点記録保持者であり、元日本サッカー協会副会長の釜本邦茂氏が展望を語った。
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23人の代表メンバーを一見して私が思うのは、従来通り、“当たり前”の選出だなということだった。
世間では、今回のW杯予選に1試合も出ていない大久保嘉人が招集されたのがサプライズだといわれた。昨年のJリーグ得点王で、今年も8ゴール。最近頑張っているから選ばれたのかもしれない。
しかしそうであれば、ケガなどでまったく結果を残していない選手を選ぶのはおかしな話だ。プレミアリーグで無得点の香川真司や、Jリーグでわずか1得点の柿谷曜一郎の選出のほうが、私にとってはよっぽどサプライズだった。
それに大久保については気になる点もある。大久保の活躍は、川崎Fにおいて、絶妙なパスと高い連携能力のあるボランチ・中村憲剛とのコンビがあってこそ。その中村が選ばれていない以上、大久保にJリーグ同様のパフォーマンスを求めるのは難しくなる。
つまりザッケローニ監督は「温情主義」で選んだのだと思う。W杯予選を一緒に戦ってきたメンバーが多く含まれているのがその証拠だ。
しかし内田篤人、吉田麻也、長谷部誠はいずれもケガでここ最近、ほとんど試合に出ていない。こうした故障明けメンバーが、ぶっつけ本番のW杯で本当に仕事ができるのか(伊野波雅彦や重森真人が呼ばれたのは、その「保険」だろう)。長谷部に対しては、前回大会における川口能活のような精神的支柱としての役割を期待したのかもしれないが、果たしてそれが勝利に結びつくのかといえば、これも疑問だ。
※週刊ポスト2014年5月30日号