涙にはストレス解消の効果があるといわれている──。今回は、32才主婦の女性が、かわいがっていたハムスターの死に関する泣けるエピソードを紹介してくれます。
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小学4年生の頃、友人からハムスターをもらいました。ひとりっ子だった私には、初めて弟ができたみたいで嬉しく、マロと名づけてかわいがりました。
飼い始めてから半年くらい経った頃、学校から戻るとマロがケージにいません。不思議に思って母に聞くと、「殺虫剤をまいたら死んじゃったから、捨てておいたわ」と言われました。
あまりのショックに呆然。死んでしまったことも信じられませんでしたが、埋めてお墓をつくるわけでもなく、“捨てた”だなんて…。
母がどうしても許せず、その日は、近所の祖父母の家に泊めてもらいました。祖父母や父が説得しても「絶対に帰らない、お母さんを許さない、一生恨む」と、駄々をこねました。すると父が「お母さんを恨むとは何事だ」と激怒。黙っていろと言われたけれどと、本当のことを話してくれました。
マロが死んだ日の朝、実は私がケージの扉を開けたまま、出かけてしまったらしいのです。逃げ出したマロは、近所の家の猫に殺されてしまったそう。マロの死体はあまりにもひどかったので、私には内緒にし、自分の不注意で死なせてしまったことにしたのだそうです。
そう言われてもまだ、不満な気持ちは拭えないまま、仕方なく自宅に戻りました。すると、母が玄関で待っていました。私を見ると、「ごめんね、お母さんの言い方が悪くて、傷つけて」と泣いて謝ってくれました。
あれから20年。今度は私が、息子のカブトムシを死なせてしまいました。虫カゴから脱走したカブトムシをうっかり踏んでしまったのです。息子にどう説明しようかと悩んだとき、母を思い出しました。自分を悪者にして説明してくれた母。私も息子にののしられても、しっかり謝ろうと思いました。
※女性セブン2014年5月29日号