旬なタレントを24時間態勢で見守る芸能マネージャー。ファンからすれば羨ましい職業のようにも思えるが、実際の仕事は苛酷そのもの。売れっ子の担当となれば、早朝から深夜まで仕事が続き、タレント以上に眠れない生活を送ることになる。とはいえ、最近ではマネージャーの仕事形態に、ある変化が起きているという。芸能マネージャーのひとりはこう語る。
「昔と比べて、最近は数年で担当が変わるようになりましたね。1人のマネージャーがずっと同じタレントに付くことがないように、社内で回すようにしています。たしかに、大御所には同じマネージャーが何年も付いているケースもあります。ただ、若いタレントでは、あまりありませんね」
なぜ、そのように変化したのだろうか。
「事務所からの独立を恐れているのです。マネージャーとタレントがずっと同じコンビだと、家族のような関係になって、独立を画策することがままあります。売れっ子に飛び出されると、事務所としては大きな痛手になる。
また、ツーカーの仲になると、内職に手を染め始める場合もある。要するに、事務所にわからないように営業を取ってきて、2人だけでギャラを分けて、事務所には入れないようにする。これが罷り通ると、事務所は無法地帯になってしまいますからね」(同前)
加えて、タレントとマネージャーが異性のコンビだと、恋愛関係に発展してしまい、結婚や事実婚をするケースもあるという。それも事務所にとっては望ましいこととは言えない。
「これらの懸念があるため、数年でマネージャーを配置転換するのです。この傾向は、大手事務所に限らず、かつて大手から独立したマネージャーが経営する中小事務所にもあります。『自分のように飛び出されたら困る』という意識が働いているのでしょう。もちろん、回すほど人数のいない事務所では、この法則は当てはまらないですが」(同前)
短期間でのマネージャー交代は、良い点もあれば、悪い点もある。
「昔のマネージャーは、タレント1人を売り出すために、各所を駆け回り、死に物狂いで仕事を取ってきた。それを知っているタレントは『マネージャーのためにも頑張らなくちゃいけない』と心を打たれ、成長していった。
でも、現在のように頻繁にマネージャーが代わってしまえば、タレントと良い意味での一蓮托生とはならない。今は芸能事務所も組織が巨大化してしまい、宣伝部や営業部など多くのセクションに分かれてしまっている。だから、昔のように、二人三脚で夢を見る…なんてことは、あんまりなくなりましたね……」(同前)