地下は今や文明の中核をなし、未来を暗示予兆する巨大な装置である──。20年にわたり日本の地下世界を撮り続けた写真家・内山英明氏はその魅力をこう解説する。日本の地下ブームの火付け役となり写真界に新たなジャンルを打ち立てた氏が、4月14日に逝去した。
ここで紹介するのは、写真集『JAPAN UNDERGROUND III』にも掲載されている茨城県・つくば市にある「高エネルギー加速器研究機構」。金属で覆われた地下室に鎮座する加速器は、宇宙の起源や物質の構造を探るのに不可欠だ。
現代社会の足下深く広がる迷宮に魅せられた写真家が遺した「未来」がここにはある。
◆内山英明(うちやま・ひであき):1949年静岡県菊川市生まれ。東京総合写真専門学校中退。1993年より日本の地下世界を撮り続け、2006年に写真集『JAPAN UNDERGROUND III』『東京デーモン』で土門拳賞を受賞。2014年4月14日、脳出血により逝去。主な写真集は、『JAPAN UNDERGROUND』シリーズ、『東京エデン』など。
※週刊ポスト2014年5月30日号