今からちょうど1か月前のこと。東京芸術劇場で4月9日から13日まで行われた舞台『花や…蝶や…』は久しぶりの家族共演だった。別居中の夫・津川雅彦(74才)がナレーションを務め、娘・真由子(40才)とともに舞台に上がる朝丘雪路(78才)。しかし、舞台裏の彼女にいつもの笑顔はなかった。
「いつになく元気がなくて、階段の上り下りもスタッフの手を借りるほどでした。でも、それだけじゃなくて、台本を覚えるのにもだいぶ苦労なさったみたいで、“これが最後の舞台ね”と打ち合わせの段階でこぼしていたそうです」(芸能関係者)
そして舞台を終えると、彼女はひっそりと休養に入った。今年で79才。周囲のほとんどが、高齢が理由と考えていたが、実際はより深刻な状態だという。
「実は朝丘さんは老人性うつ病なんです。昨年の秋頃からその症状は出ていて、よくなったり、悪くなったりという状態だったのですが、ここ最近はぼーっとうつむくことが多くなってしまったそうで…」(朝丘の知人)
彼女のそばにいるのは、娘の真由子ただひとり。夫・津川の姿はない──。
「津川さんのおもちゃ屋さんが大変だったので、みんなで協力しただけです」
2008年末、それまで一家で暮らしていた東京・世田谷の一戸建てを朝丘は売り払う。理由は津川が経営していた会社が抱えていた6億円もの借金返済だった。だが、以来夫婦は一度も同じ家に暮らすことはなかった。
「ふたりは円満を強調していましたが、夫婦の溝は修復できないほどに深まっていたんです。当時の津川さんは映画監督業に力を入れていたのですが、これに朝丘さんは大反対していました。映画製作となるとまた莫大なお金がかかりますからね。しかも津川さんはモテますから、長年一緒に暮らしてある程度は理解しているとはいえ、思うところがあったんでしょう」(テレビ局関係者)
朝丘、津川、そして真由子はそれぞれ新しい生活をスタート。朝丘はここ数年、バラエティー番組にも出演、“天然な素顔”がお茶の間にうけていた。が、異変は突然訪れた。始まりは、昨年秋頃だった。前出の朝丘の知人が言う。
「真由子さんから足元がおぼつかなくなったと聞いていたんですが、実際会うと、しっかりとまっすぐ歩いていたんです。ただ、歩く様子が少し変で、足元だけをじっと見つめて一心に歩いていて、周囲には目もくれないという感じでした。セリフに関しても、覚えられないというよりも、なんだか覚えるのが億劫な感じで。どこか気力がないように見えたんです。でも、そうかと思うと、元気にひとりで買い物に出かけていたこともあって…」
当初は認知症かと思われていた朝丘だったが、検査の結果下されたのは前述の通り、“老人性うつ病”という診断だった。『文京根津クリニック』の任博(にん・ひろし)院長は言う。
「子供や働きざかりの大人と同じように高齢者もうつ病にかかります。老人性うつ病と認知症は物忘れが激しくなったり、落ち着きがなくなったり、ぼんやりしていたりと共通する症状があるので非常に見分けるのが難しい。しかし、治療法は違います。老齢期のうつ病は自殺にも注意が必要で、家族は認知症だと思い込まずに医師による診断を受けることが大切です。症状が好転しない時にはセカンドオピニオンを求めることも必要です」
※女性セブン2014年6月5日号