「現在、行われているがん研究は、主に欧米人を対象にした研究が基になっていることが多いのですが、欧米と日本では生活環境が大きく異なります」
がんの疫学、特に原因究明と予防法の開発のスペシャリストである国立がん研究センターの津金昌一郎さんはそう語る。
「例えば、アメリカ人に有効なものが、そのまま日本人に当てはまるとは限りません。そこで、日本人を対象にしたがんの予防法の研究成果をまとめたところ、がん予防に有効な『5つの生活習慣』がわかってきたのですが、それが、禁煙、節酒、食生活、身体活動量、体格の5つです」(津金さん・以下同)
国立がん研究センターの多目的コホート研究(日本人約10万人を20年以上追跡している大規模疫学調査)によって、これら生活習慣の改善が、発がんリスクを大幅に下げることもわかっている。有効なのは受動喫煙も含めてたばこをやめ、飲酒はほどほどに、バランスのよい食生活、適度な運動を心がけるということ。体格は男性BMI21以上27未満、女性BMI19以上25未満の範囲内が基準となる。
「以上の5つすべてを改善するとリスクは半分近くまで下がりますが、一度にすべてを改善せよ、といっても実際は難しいですよね。張り切って始めたものの、無理をしすぎて途中挫折してしまっては意味がありません。できそうなものから1つずつ生活習慣を整えていくほうが長続きしますよ」
※女性セブン2014年6月5日号