国際社会で中国の横暴な行動が目立つことにアジア諸国の懸念が高まっているが、その一方で日本への信頼は揺るいでいないという。
2000年代に入って、日本の家電メーカーは韓国や台湾の勢いに苦戦を強いられているが、品質と信頼のジャパンブランドはまだ健在だ。
中小企業の海外進出を支援するコンサルタントの山本利彦氏は「『これは日本製か』『そうだ』というやりとりだけで、商談が成立したことがあります」と、信頼性の高さを実感する。
今年3月にシンガポールで開催された工業製品の展示会でも、人を集めたのは日本企業のブースだった。なぜ日本製品への信頼が厚いのか。山本氏のその問いに、ある展示会参加者はこう答えた。
「日本人は、ウソをつかないからね。ウソをつかない日本人がつくるものには、間違いがない、と」
山本氏は、「英語ではインテグリティが高いというんです。誠実とでも訳せばいいでしょうか」と語る。他国企業のブースで写真を撮っていても、日本人だとわかるとお咎めなし。一方で中国人が同様の行動をすればすぐに警備員が呼ばれる。すぐにそっくりのものを量産する中国への警戒の裏返しでもある。
日本の「インテグリティ」を評価する声は、東南アジアの外からも聞こえてくる。タレント兼カリフォルニア州弁護士で、日本滞在歴40年のケント・ギルバート氏は、「東日本大震災のときの日本人の助け合いの精神が、今でも脳裏に焼き付いている」と語る。しかし、非常時だけでなく、日常の日本も良さがあるという。
「景色です。日本は、眼にとって本当に楽しいところ」。といっても、山紫水明のいかにも美しい風景のことばかりではない。ビルや店舗のデザインが美しいというのだ。それは小さなものでも変わらない。
「以前、私が関わっていた会社が、アメリカの化粧品を日本で販売しようとしたことがあった。日本では、商品の機能性、高級感、そしておしゃれ度が問われるのに、それにふさわしい容器がアメリカにはない。なので日本から容器を送って、それに化粧品を詰めて送り返してもらっていました」
※週刊ポスト2014年5月30日号