横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智が高卒5年目の今年、ついにその才能を開花させようとしている。開幕から「5番・レフト」でスタメンを張ったが、当初は結果が出なかった。だが、4月12日のヤクルト戦で今季初本塁打を放つと、以降はヒットを量産。交流戦開始前までに打率2割8分9厘、6本塁打で、得点圏打率4割8分1厘はリーグトップ。完全にレギュラーを奪取した。スポーツライターはこう話す。
「昨年、中畑清監督が秋季キャンプに筒香を連れて行かないという荒療治を敢行。完全に尻に火がつきましたね。昨年まではボール球を振るシーンが随所に見受けられ、早々と追い込まれて、自分のバッティングができなかったのですが、今年はファーストストライクを仕留め、結果を残しています。守備にも積極性が現れており、レフトフェンス際の打球を幾度となく怖がらずに好捕しています」
未完の大砲がついに覚醒しようとしているのだ。一方、他球団を見ると、筒香より1年先輩で高卒6年目の巨人・大田泰示はいまだレギュラー獲得に至っていないどころか出場機会も少ない。松井秀喜氏の付けた背番号55を入団時から背負った“未来の大砲”候補は、打撃がふるわず、今年からは背番号を44に変更し、再出発している。
「今年は、阿部慎之助の自主トレに同行を許されず、いわば突き放された格好に。筒香と状況は似ていましたが、まだ開花できていません。セペダも加わった外野陣に割って入るのは、相当厳しい」(同前)
プロ野球通算本塁打ランキングベスト20(高卒打者は10人)のうち、17人が4年目までにシーズン20本塁打を記録。筒香は1年遅れたが、現在のペースで行けば、今シーズン20本塁打も期待できる。
「王貞治と野村克也は4年目にホームラン王を獲得。現役最多本塁打の中村紀洋は、4年目に20本塁打に乗せました。5年目を過ぎてから、20本塁打以上をマークしたのは、秋山幸二(5年目・40本)、山崎武司(10年目・39本)、大島康徳(9年目・27本)の3人ですね。
秋山は2、3年目にシーズン中にアメリカに野球留学。山崎は捕手として、大島は投手として入団。そのために、少し時間がかかった。ただ、秋山と山崎はファームで本塁打王に輝いていますし、大島は8年目までに2ケタ本塁打を4回記録。潜在能力は発揮していました。そういう意味では、筒香も2年連続でイースタンリーグの本塁打王に輝いていますし、ようやく花開いたという感じ。
大田泰示は昨年も二軍で2ケタの本塁打を放っていますが、まだタイトルは獲れていない。今年もこのまま活躍できなければ、いくら原辰徳監督と同じ東海大相模高出身とはいえ、厳しいオフが待っているでしょう」
大砲候補と呼ばれ、芽が出ないまま、現役を終えた選手は数え切れないほどいる。筒香はその危険を脱出しつつある。大田はどうなるのだろうか。