国際社会で急速に存在感を増す中国。一方で日本の影が薄くなったなどという声もあるが、日本や日本製品についての信頼性は揺らいでいない。
日本製品のデザイン性は高く評価されているところだが、肩の力が抜けたところでも支持されている。ゆるキャラだ。一般社団法人アジア支援機構代表理事として、アジアの貧困地帯の支援を行なう池間哲郎氏は「まさか、イスラエルで『日本のゆるキャラはクール』と言われるとは思いませんでした」と語る。
イスラエルでは、日本文化が大ブームだといい、在日イスラエル大使館は昨年6月、「シャロウムちゃん」という在外公館初のゆるキャラを誕生させた。
W杯開催地のブラジルでも、「日本に学べ」が合言葉になっている。同国のスポーツ関係者は中小企業の海外進出を支援するコンサルタントの山本利彦氏に「日本の治安を輸入したい」と打ち明けた。
山本氏によると、日本の治安の良さはブラジルだけでなく世界中でよく知られている。ブラジルには地域の治安を守る「KOBAN」システムが導入された。
ちなみに、2013年に実施されたブラジルでの対日世論調査では、「発展のために必要な科学技術導入の手本となる国」で日本がトップに立っている。
アフリカのウガンダでNGOハンガー・フリー・ワールドのウガンダ支部担当、吉田千代子さんはニックネームを贈られた。10年ほど前のこと。
村に井戸を掘る事業の視察に訪れたとき、ちょうど誕生日だった吉田さんに、プレゼントが用意されていた。それが小さな額と「あなたは、ナンサンバだ」という言葉だった。ナンサンバとは、現地の言葉で「働き者」を意味し、現地では「ナンサンバさん」と通名としても使われる。その名を贈られたということは、遠い日本からの支援者が、仲間として受け入れられたということだ。
「『私のお母さんもナンサンバなので、あなたは私のお母さんだ』と言われることもありますよ」
世界中に存在する親日国家と国民。その存在を知らないのは、案外、私たち日本人だけかもしれない。
※週刊ポスト2014年5月30日号