4月クールの連続ドラマもそれぞれ中盤に差しかかった。後半も目が離せないが、最近目立つのが、「15分拡大」「10分拡大」など通常よりも少し時間を拡大して放送するドラマの多さだ。
今クールではほとんどの民放ドラマが、初回を拡大して放送した。例えば、『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)が10分拡大、『続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)、『アリスの棘』(TBS系)が15分拡大、嵐・二宮和也主演の『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(日本テレビ系)が20分拡大、『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)が25分拡大。30分、1時間といったキリのいい時間ではなく、少しだけ拡大するのが最近の傾向だが、その狙いとは?
「わかりやすく言えば裏番組対策です。通常枠で放送されている裏番組を見終えた視聴者を取り込むためです。だからと言って1時間延長して2時間スペシャルまでにしてしまうとタレントの拘束時間も長くなり、ギャラもその分高くなります。しかも初回を2時間でスタートさせて数字が低いのは避けたいですし」(テレビ関係者)
今期、初回を2時間スペシャルで始めたドラマの中では、ホンジャマカの石塚英彦が刑事役に挑んだ『刑事110キロ』(テレビ朝日系)が初回視聴率9.7%、橋田寿賀子さん脚本の『なるようになるさ。』(TBS系)が9.4%と、いずれも1ケタ台からのスタート。それ以降、どちらのドラマも2ケタに届いていない。
一方、10分拡大や15分など少しだけ拡大してスタートしたドラマでは、視聴率はさまざま。14.0%と好スタートを切った『続・最後から二番目の恋』のようなケースがある一方で、初回15分拡大で放送した沢村一樹主演の『ブラック・プレジデント』(フジテレビ系)が8.3%と低迷するなど、必ずしも数字が高くなるわけではない。内容次第ということか。
さて、こういった時間の拡大は初回に限らず、途中の回でも頻繁に見かけるようになった。『ルーズヴェルト・ゲーム』は、3話目を10分拡大している。
「途中の回で拡大する理由はさまざま。初回の放送時、撮影自体は少なくとも5話目までは進んでいることが多い。ですので、途中の回での拡大は、高視聴率が見込めるため後になって時間を増やした、という背景も。また、最近のドラマは放送話数が9~10話程度と少なくなっているので、描きたい内容がその話数ではおさまらないため各話を少しずつ拡大しているということもあります」(放送作家)
そんな中、珍しい作品も。『TEAM〜警視庁特別犯罪捜査本部』(テレビ朝日系)の第5話はなぜか11分拡大という中途半端なものだった。
「だがそのおかげか、前回9.6%より1%高い10.6%を記録しました。わずか1%の差ですが、制作スタッフも喜んでいるでしょう」(同)
今後は、キリの良くない拡大をする連ドラがもっと増えるかも!?