日本人を対象にしたがんの予防法の研究成果をまとめたところ、がん予防に有効な『5つの生活習慣』がわかってきた。それは、禁煙、節酒、食生活、身体活動量、体格の5つだと、国立がん研究センターの津金昌一郎さんは語る。
5つの予防法のポイントのひとつは食生活。当たり前のようだが、いろいろなものをバランスよく食べるのが基本。なかでも野菜や果物は不足しないように、1日に合わせて400g程度を目標に食べることだ。
「野菜や果物をまったく食べられない人がサプリメントで不足分を補うのはいいのですが、たくさん摂ればいいというものではありません。例えば、DNAの合成に必要な葉酸は、不足すると細胞の増殖がうまくいかなくなるため、妊婦や葉酸不足になりやすい飲酒習慣のある人はしっかり摂りたい成分。
しかし、足りている人が余計にとると、眠っているがん細胞まで起こしてしまい、増殖を促進します。がんのリスクが高くなる可能性が指摘されているのです。その他のどんな成分も同じで、不足している人は摂ったほうがいいですが、摂りすぎてはいけません」(津金さん・以下「」内同)
現在の日本人の生活状況と、がんのリスクを比較すると、野菜や果物は少ないとリスクが高まるが、食べられる量に限度があるため、食べすぎでリスクが高まることはほとんどない。目の敵にされがちの肉類は、少なすぎても多すぎてもリスクが高まっている。
「牛豚羊などの肉を食べてがんリスクが高まるのは、毎日100g以上食べ続けるなど、欧米人の平均的なレベル。逆に少ないと血管が弱くなって脳卒中、特に脳出血のリスクが高まります。1~2割の日本人は、少し摂りすぎ傾向で、心筋梗塞とかがんのリスクを上げていますが、3~4割は不足しているがために健康を害していると考えられます。
自分が毎日100g以上食べていれば、食べる量を減らしたほうがいいですが、1週間で100gに足りていなければ、もっと食べたほうがいいんです」
※女性セブン2014年6月5日号