涙にはストレス解消の効果があるといわれるが、泣ける“ツボ”は人それぞれ。今回、広告会社で働く44才の女性が夫を追いつめてしまったエピソードを紹介。
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我が家はもともと、共働きだったのですが、夫の会社が倒産。その後も転職先が決まらない夫は、しばらく主夫をすることに。ところが、これまで家事をやってこなかったので、急にできるわけありません。けんかの絶えない毎日でした。
仕事でのストレスも重なって、ある時、「いいかげん働いてよ! えり好みしなければすぐに決まるでしょ」と言うと「じゃあ2万円くれよ」と、とんちんかんな返事。当然拒否しました。
それから数日後の夜、夫が出かけたまま、帰ってきません。どこかで遊んでいるのだろうと思っていると、夜中に電話が鳴りました。病院からでした。この日は雪の降る寒い夜。夫は公園で酒と精神安定剤をのみ、凍死寸前だったそうです。
自殺を図るまで追い詰めてしまったのかと、私は愕然としました。駆けつけた病室で夫の荷物を確認すると手帳が入っていました。開くと、かなりの頻度で面接に行っていることがわかりました。夫はちゃんと就職活動をしていたのです。欄外に「靴を指摘される」とメモがありました。ベッドの下に置かれた靴を見ると、すり減って傷だらけ。2万円で靴を買いたかったんだと知りました。
翌朝、目を覚ました夫に謝ると「自殺なんかしていない!」と驚いていました。公園でヤケ酒をして、そのまま眠ってしまったのだそうです。それでも、私が夫を苦しめていた事実は変わりません。もう無理に仕事に就かせるのはやめて、主夫として頑張ってもらうことにしました。周りから何を言われようと、今は家族円満でとても幸せです。
※女性セブン2014年6月5日号