『ピンクのカーテン』といえば、ジョージ秋山の名作漫画。「鉄のカーテン」といえば、東西冷戦時代の英首相・チャーチルが使った言葉。以上まったく関係ありませんが、こちらは白いカーテン。しかも巨大だ。
W杯日本代表の合宿地、鹿児島県指宿市のピッチに秘密練習のために設置された、高さ10mはあろうかという巨大な“壁”である。
当然、練習は完全非公開。報道陣の取材も最初の15分に限られ、ザックジャパンはじつに強固な「鉄のカーテン」を引いた。写真は、練習開始の冒頭、報道陣の前に整列する日本代表チーム。奥の目隠しの先には合宿の宿泊ホテルが見える。
それもこれも、代表チームの評価が自他ともに意外なほど高いからである。辛口で知られる英タイムズ紙は、MF清武弘嗣を「秘密兵器」と持ち上げ、今回の日本代表は「今までで一番強い」と絶賛する。DF長友佑都が「レジェンドになる」と宣言すれば、MF本田圭佑も「世界を驚かせたい」と公言して憚(はばか)らない。
サプライズ選出のFW大久保嘉人など、テレビ番組でSMAPの木村拓哉に「地球の裏側から絶対見てます」と送り出され、いまや時の人といっていい。
とはいえ、好事魔多し。“意外な”予選敗退だけは見たくない。ザックの白いカーテンが歴史の一幕をつくるか。
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2014年6月6日号