今年も新入社員の配属の季節となった。都内の不動産会社で働く40代のAさんの部署には、男女1人ずつの新人がやってきた。
「2人とも同じグループで働くことになり、私が指導係になったのですが、明らかに女の新人のほうが“使える”。覚えも早いし、何よりしっかりコミュニケーションを取ろうとしてくる。男は注意してもなかなか仕事を覚えないし、黙ってばかりで、何を考えているのかさっぱりわからない」
今どきの若者は男よりも女のほうが優れている──。それは、厚労省と文科省が先ごろ公表した「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」でも明らかになった。
2014年春に卒業した大学生の就職率は、女子95.2%、男子93.8%と、女子が2年連続で男子を上回る結果となったのだ。
「介護や医療分野で女性の採用が高まる一方で、製造業など男性の多い職場で採用が減っていることが要因。アベノミクスにより、景気の回復感があるなか、企業が女性の採用に積極的になり始めたことも追い風になっています」(厚労省・企画課若年者雇用対策室)
だが、企業の採用担当者が実感している女性の就職率の高さの理由はもっとシンプル。「単純に女性のほうが優秀だから」である。
「今や採用の現場では女性のほうが優秀というのは“常識”。どこも優秀な人材を確保したいから、男女の就職率の逆転は、なるべくしてなった結果です」(大手医療機器メーカー人事担当)
しかも就職率だけではなく、総務省が5年ごとに実施する全国消費実態調査(最新は2009年)でも、税金などを差し引いた可処分所得が、女性は月21万8100円で男性を2600円上回った。これは調査開始以来、初めてのことだ。
就職率でも、稼ぎでも女性に抜かれる結果は、“企業戦士”としてバリバリ働き、今や就活を控えた息子を持つ父親世代には、なんともショッキングな現実だ。
※週刊ポスト2014年6月6日号