いまや1億円プレーヤーも珍しくなくなったプロ野球界。特に1993年オフのフリーエージェント制度(FA)導入以降は、年俸も高騰し、今年は65人もの選手が年俸1億円以上となっている。だが、その一方で、現役引退後の稼ぎは減っている人が多いという。スポーツ紙記者が話す。
「よほどの大物を除けば、評論活動だけで食べていける人はいないですね。かつて民放は解説者と年契約を結んでいましたが、今は単発契約がほとんど。CS放送は増えましたが、1本3万~5万円程度。局と年契約をしている人でも、それだけでは一般人の平均年収に満たない場合もある。特定局のテレビ解説だけでは喰っていけない状況にあります」
かつて、大物選手は現役でいるよりも、引退したほうが稼げていた時代もあった。
「元巨人の江川卓氏は現役最終年の年俸6100万円(推定)だったが、引退した翌年は数億円にも上ったといわれている。当時は日本テレビが巨人主催試合を毎回放送し、専属契約で5000万円程度。ほかにCMや講演会、事業などで稼いだようだ。
また、元阪神の村山実氏(故人)は、高級マンション経営や運動用品店の全国展開に成功し、年商30億円を叩き出していたようです。引退時の年俸が3000万円(推定)だったので、引退後には何倍も稼げるようになった。村山氏の場合、引退直後の4年間、スポーツ用品店SSKに勤務。しっかり勉強したことが、成功につながったのでしょう」(同前)
2人のような例は特別にしても、ある程度の実績を残した選手であれば、テレビ解説だけで食べていけた。逆にそのような時代が終わったことで、選手寿命が伸びているという指摘もある。
「もちろんスポーツ科学が発達しましたし、選手個人の努力によって40歳を超えてもプレーする選手が増えた。素晴らしいことです。しかし、昔なら引退したような成績でも現役にこだわる選手もいる。野球選手が引退したくないのは当然のことですが、その背景には引退したら確実に年収が下がるという事実も見逃せません」(同前)