お墓のあり方が変化しつつある昨今。現在、改葬、新規のお墓を建てる場所ともに人気なのは、生活圏内の霊園や樹木葬、維持管理費を支払えば永代使用ができる納骨堂や他人と同じ場所に納骨される永代供養墓だという。
永代供養墓は、年間維持費が不要なことが多く、後継ぎのない人にとっては好都合。葬儀・お墓コンサルタントの吉川美津子さんはこう話す。
「流通大手のイオンは、昨年から3万円台~の、永代供養墓を販売。全国に12か所あり選択肢が広がっています」
お墓選びが激変するなかで、増えたトラブルもある。
「“子供に迷惑をかけたくない”と、生前にお墓を購入する人が増えていますが、契約の確認不足や家族と相談していなかったがために、後々問題になることも少なくありません。
例えば、趣味のピアノをモチーフにしたお墓を建てても、お墓を継ぐ子供がピアノに興味がなければ、そこに入るのは抵抗がありますよね?
また、木の下に遺骨を埋葬する樹木葬にもトラブルが。霊園によっては、他人と同じ木の下に埋葬され、夫婦で契約しても離れた場所に埋葬されることもあります。遺骨の埋葬場所が具体的に特定できず、改葬しようにも取り出せないトラブルも起きています」(吉川さん)
デメリットも把握した上、家族とも相談し、後世に迷惑をかけずに旅立ちたいものだ。最近では遺骨の一部を手元に置く人も増えている。
「中村勘三郎さん(享年57)の妻、好江さん(54才)が遺骨をダイヤモンドのリングにして話題になりましたが、遺骨でつくるアクセサリーや、デザイン性のあるミニ骨壺が人気です」(吉川さん)
『千の風になって』の作者・新井満さんは、“お墓”とは生者と死者が対話する場と説く。埋葬しても遺骨を手元に置いたとしても、結局は残された者の慰めとなるからだ。
「私は先祖のお墓はもちろん、尊敬する偉人たちのお墓参りは26才から40年以上も続けています。自分の足で墓前に立ち、一礼してまぶたを閉じたら、死者への思い、近況を伝え、時には悩みを相談することもあります。死者と対話するうちに自分とも向き合っています」(新井さん)
お墓は誰のためのものか。真剣に考えることで本当に「泣けるお墓」は見つかるのかもしれない。
※女性セブン2014年6月5日号