プロ野球では開幕前の予想を覆し、オリックスが好調だ。パ・リーグ首位のまま交流戦を迎え、交流戦に入ってからも順調に勝ち星を積み重ねている。
打線は移籍2年目の糸井嘉男が引っ張り、投手陣は金子千尋と西勇輝の二枚看板が安定した投球を見せている。とはいえ、昨年までBクラスに低迷していたチームが、なぜ急に躍進したのか。交流戦前までの戦いについて、スポーツライターはこう分析する。
「森脇(浩司)監督は、カード初戦を重要視しており、金子と西の両エースを先発させる機会が多い。3連戦の頭を取れば、負け越す可能性が大幅に減り、少なくとも3連敗はなくなる。当然ですが、圧倒的に有利に立てます。
オリックスは、交流戦開始前までカード初戦は11勝4敗と大幅に勝ち越した。4月に関していえば、8勝1敗です。全15カード中、勝ち越し11、負け越し4の成績です。それでいて、負け越した4カードは、すべて初戦を落としています。森脇監督は、カード初戦の重要性を身に染みて感じているはずです」
交流戦開始前までの成績を見ると、西はすべて火曜のカード初戦に先発し、7勝0敗。金子も同じくすべてカード初戦に先発し、3勝3敗ながら防御率1.60と抜群の安定感を見せた。
「昨年優勝した楽天も、田中将大を主にカード初戦にぶつけていた。ローテーションを崩してまでも、カード初戦の先発に持ってきていたんです。楽天の優勝は、星野(仙一)監督のそのこだわりが実を結んだともいえる。
今年の森脇監督も、意識的に2人をカード初戦に先発させています。基本的に中6日でローテーションを回していますが、4月18日の西武戦には、金子を中5日で持ってきた。交流戦開始前までに金子が中6日以外で投げた唯一の試合です」
この試合、金子に勝ち星こそつかなかったものの、オリックスは延長戦を制している。
「交流戦に入ってからも、西、金子を、なるべくカード初戦に先発させるようにしています。広島との首位対決では、金子が前田健太に投げ勝っている。交流戦は2連戦なので、リーグ戦以上にカード初戦が重要になってきます。変則的な日程ですが、森脇監督が2人を初戦に持ってくるローテーションを上手く組めれば、オリックスの交流戦制覇、そしてリーグ制覇は現実味を帯びてくるでしょう」
昨年は交流戦2位の楽天、3位の巨人がリーグ制覇を成し遂げた。金子、西という2枚のエースを使いこなせば、森脇監督が宙に舞うのも決して夢ではないだろう。