大相撲夏場所は、横綱・白鵬が歴代3位となる29回目の優勝を果たして幕を閉じた。尊敬する大鵬(故人)の持つ史上最多32回の優勝記録更新まであと少し。しかし嬉しいはずの白鵬が、千秋楽翌日に行なわれる恒例の「一夜明け会見」を理由も明かさず拒否し、様々な憶測を呼んでいる。
モンゴル人力士と日本人力士の扱いの違いに心を痛めたという説も囁かれているが、ある角界関係者は別の見方をする。
「横綱は優勝を決めた日の夜には、NHKの番組にいつもと変わらず出演し、機嫌良く話している。会見を拒否したのは、番記者への反発ではないか。最近、関係が微妙になる事件がいくつかあったと聞いているよ」
最も有力とされているのが白鵬夫人に関する話だ。
実は現在、白鵬夫人は第4子を懐妊しており、今秋にも出産予定だという。ただこれについて、千秋楽の日の中入り後、白鵬のマネージャーから記者クラブに、「もし優勝しても妊娠については書かないでほしい」との通達があった。
「この日の朝、あるスポーツ紙が夫人の妊娠を報じてしまったのです。まだ安定期にも入っていないし、後援者にも報告していなかったから、白鵬としては相当腹に据えかねたらしい。記者の前で機嫌が悪かったのは、この内容をかぎつけられて、何かの形で取材をされたからではないか」(関係者)
いわれてみれば、優勝後の支度部屋での記念撮影時、これまでは横にいた夫人の姿がなかった。体をいたわって欠席したのだろうか。
番記者に反発した原因とされる説は他にもある。本誌が取材を進めると、他の角界関係者たちから、以下のような証言が得られた。
「白鵬の父に厳しい取材をかけたためだと聞いている。お父さんは現在体調が芳しくなく、白鵬も非常に心配しているから、反発したのではないか」
「先日亡くなった前理事長・放駒親方の通夜に、現役の横綱では白鵬だけが参列しなかった。理由について、記者からしつこく問い詰められたためだ」
いずれにせよ、記者の取材に不満があったから、という点は共通している。温厚な横綱の逆鱗に触れたのは、スポーツ紙が久々に発揮したスクープ根性だったのだろうか。白鵬は本稿締め切り時点まで沈黙を貫いている。
※週刊ポスト2014年6月13日号