すでに内定を出す企業も増えてきた2015年卒業見込みの大学生たちの就職活動。内定が取れずに苦労する学生も多い中、8社からの内定をもらったという大学生のKさん(国立大学・4年)は、内定を断わる際に経験した辛いできごとについて次のように話す。
「自分は、MR、商社、金融、生保など8社の内定をいただきました。エントリーした会社は120社ほどです。『内定を断わった企業からひどい目に合うぞ』、という話は先輩から噂で聞いていました。たとえば、『コーヒーをかけられるから、代わりのネクタイを持ってこい』と脅されて、実際にかけられるという話です。まさかそんなことはないと思っていたのですが、自分にも同じようなことが起こりました」(Kさん。以下「」内同)
いったいKさんに何が起こったのか。Kさんはある企業に電話で内定辞退の連絡を入れたところ、会社に来るように指示されたという。
「大きな声で怒鳴りながら『お前自分の立場分かってるの? お前がうちに来るっていうから内定やったんだろ! すぐに会社に来い。代えの服も持ってこいよ、意味分かるだろ?』と言われたんです。丁寧にお断りしても、『会社に来ないと許さない』と言われました。
会社に着いたら電話に出た面接官よりも偉い男性がでてきて、入社する旨にサインした書類をヒラヒラさせながら『とりあえず、この紙の意味分かってる?』と怒鳴られたんです。『法的拘束力はないと伺ったので、お断わり致します』と言うと、『それで済むと思ってるの?こっちは何してほしいか分かる?』と言われました」
そこでKさんは、「土下座をしなくてはいけないのだ」と察知したという。
「すぐに土下座をして『申し訳ありませんでした』と地面に頭をつけて謝罪しました。そうすると社員はニヤニヤと笑いながら『そういうことじゃないんだけどなぁ。でも君、結構骨あるね』と満足げでした。
何かされたら困ると思って、ポケットにボイスレコーダーを入れて録音していましたが、土下座で済んだだけ良かったです」
土下座で思い出すのは、昨年大ヒットしたドラマ『半沢直樹』(TBS系)だ。香川照之演じる大和田常務が、堺雅人演じる半沢直樹に対して土下座するシーンは、あまりにも有名だ。とはいえ、もちろんこれはドラマの世界のこと……と思いきや、まだ社会人の入り口にすら立っていない学生が、土下座を強要された、というのだから驚きだ。
内定がもらえず落ち込む学生も多い就職活動だが、「内定を断わる」ことも大きなストレスになるのは間違いない。