涙にはストレス解消の効果があるという──。みんなを癒してくれる泣けるエピソードを紹介。金融業の28才女性のエピソードです。
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父ががんになり、見つかった時には治療の施しようがないと医者に言われました。私は、泣き暮れる母の代わりに、仕事に通いながら家事をこなしていました。そして、本当にどうにもならないのか、インターネットの掲示板に相談。すると、父と同じ症状で、発病して2年だというFさんから返事があり、メール交換をするようになりました。
ご自分の病気についてとても勉強をされているかたで、Fさんがのんでいるというサプリメントを海外から輸入して郵送してくれたこともありました。自分の病気も大変なのに、すぐ愚痴を書いてしまう私に、ずっと温かい言葉をくださり、本当に心強い存在でした。Fさんが元気なうちは、父も元気でいられるはずだと確信が持てました。
そして8か月が過ぎ、父が他界。そのことをFさんに報告すると、しばらく返信がきませんでした。まさかFさんにもなにかあったのではと心配していると、2週間ほどたってメールが届きました。送り手は、Fさんの妻だと書いてあります。
実はFさんは、父が亡くなる3か月も前に亡くなっていたのです。奥さんは、Fさんから私との交流を続けてほしいと頼まれていたそうです。メールには、「夫は家にいる時はずっとパソコンの前にいて、あなたからのメールを楽しみにしていました。ありがとう」と書いてありました。Fさんは亡くなる直前まで、そして、Fさんの奥さんは伴侶を失った悲しみのなか、私に励ましのメールを送り続けてくれていたのです。
私は母と一緒にFさんのお墓参りに行き、Fさんの奥さんも父に線香をあげに来てくれました。父が早くに他界したのはつらかったですが、Fさんたちに出会えたのは、一生の宝です。
※女性セブン2014年6月12日号