W杯への想いを語る元日本代表・藤田俊哉氏
抜群のパスセンスと得点能力は、当代随一ともいわれた。ファルカン、加茂周、 トルシエ、ジーコと歴代の日本代表監督を魅了し、実に10年間、日本代表のユニフォームに袖を通し続けた元ジュビロ磐田の藤田俊哉氏。彼だからこそ語れる、W杯への想いとは。
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グループCの日本代表の前に立ちはだかるのは、コートジボワール、ギリシャ、コロンビアの3か国。FIFAランキング上では格上の国ばかりですが(日本47位、コートジボワール21位、ギリシャ10位、コロンビア5位)、このランキングは試合数や対戦国数など算出条件が一定でなく、公正な比較が難しいので、数字が示すほどの力の差はありません。厳しい試合になるのは当然ですが、日本が予選を突破する確率は十分にあると思っています。
理想をいえば、初戦のコートジボワール、2戦目のギリシャで2勝を挙げ、3戦目のコロンビア戦は決勝トーナメントを睨んで、1、2戦で使わなかった選手を試したり、主力を休ませたりするなど、余裕をもった展開にすることでしょうか。
不安な点としては、やはり故障。これまで主力として戦ってきた選手の多くが直前まで、中には今も故障を抱えた状態で招集されています。そのためリーグ戦を戦っておらず、試合勘が鈍っているし、コンディションがよくない選手もいるでしょう。しかし、ザッケローニ監督は「これまでやってきたサッカーを貫く」と信頼して招集している。それに応えるためにも、できるだけベストの状態で本番を迎えて欲しいと思います。
日の丸を背負うことは、そう簡単に言葉では言い表わせない重みがあります。勝敗に対するプレッシャーもある。ただ、とにかく1勝することが目標だった我々の時代と違って、今は、日の丸の重圧に押しつぶされるような時代ではありません。選手たちには日本サッカーのために戦うのはもちろん、世界のレベルの中で自分たちのサッカーを信じて、楽しんできてもらいたいと思っています。あなたたちは間違いなく、史上最強の日本代表なのだから。
●藤田俊哉(ふじた・としや):1971年、静岡県生まれ。清水商高、筑波大を経て、1994年にジュビロ磐田に入団。1年目からレギュラーとなり、JのMFの中では史上初となる100得点を達成した。1995~2005年まで日本代表に招集され、国際Aマッチ24試合出場、3得点。2012年に現役引退後、指導者を目指し、欧州を中心に活動している。
※週刊ポスト2014年6月13日号