じつにタイミングがいい話である。集団的自衛権の行使を巡る議論が国論を二分するなか、青森の三沢基地に降り立った異様な飛行体。5月から在日米軍基地に配備されることになった米・無人偵察機「グローバルホーク」である。
暗いねずみ色の機体には窓ひとつなく、巨大な頭を持つその異形は、機名の鷹にはほど遠く、さながら映画『エイリアン』に出てくる異星生物のようである。
無人機といえば、アフガニスタンで一般市民を誤爆によって死傷させた無人攻撃機「プレデター」が、非人道的な兵器として世界中から非難を浴びたのが記憶に新しい。今回は偵察機とはいえ、ゆくゆくは攻撃機が配備される可能性も否定できない。
今や三沢基地は米国の東アジアにおける重要な軍事拠点という話も聞かれる。知らぬうちに米国の世界戦略に組み込まれるわが国。集団的自衛権の議論は白熱する一方だが、いずれにせよ米国の言いなりになるのはご免こうむりたい。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年6月13日号