日本人選手がメジャーリーグを席巻する時代、野球の常識も日々変化している。古い野球では「フライや三振はもってのほか」「転がせば何が起こるかわからない」という価値観から、「とにかく上から叩きつけろ」という指導法がはびこっていた。
今もこうした指導者は存在するが、最近では「レベルスイングこそ重要だ」という理論が浸透している。
オリックスのコーチ時代にイチローと振り子打法を編み出すなど、5球団のコーチを歴任した河村健一郎氏がいう。
「レベルスイングなら、ボールの軌道とスイングの軌道が重なる部分が多いため、ボールを“線”でとらえられる。しかしダウンスイングでは軌道が重なる部分が少なく“点”でしかとらえられない。当然打率は上がらないし、バットでボールを切るようになるのでかえってポップフライが上がりやすい。投手側の肩が開いて手打ちになりやすい弊害もある。上から叩け、は確実に間違った指導法です。
メジャーで活躍するイチロー、青木宣親(ロイヤルズ)は、レベルスイングを実践していますし、ベイスターズの梶谷隆幸が急に本塁打を打つようになったのも、2年前にグリップの位置を下げ、レベルな軌道にしたからだと聞いています」
この理論は、プロだけでなく八戸学院光星、常葉菊川などの甲子園常連校でも実践されている。
※週刊ポスト2014年6月13日号