13日に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)。楽しみにしている人も、そうでもない人もいるだろう。W杯を巡る大人的な対処とはなにか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が語る。
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ついに1週間を切りました。日本時間の6月13日早朝に「2014FIFAワールドカップブラジル大会」が幕を開けます。日本代表チームが予選を戦うグループCは、コートジボアール、ギリシャ、コロンビアといった顔ぶれ。強豪ぞろいですが、大方の心の中の予想を裏切って、何とか決勝リーグに進出して大暴れしてほしいものです。
こういう世界的な大会が始まって、世の中がそれ一色になると、いろんな種類のバカが湧いて出てきます。そういう人たちもけっして悪気があるわけではなく、その人なりに熱気に惑わされているだけ。生温かい目で見て、お望みどおりの対応をしてあげるのが、大人の懐の深さであり無駄にストレスを溜めない方法です。
たとえば「へー、ワールドカップってもう始まってるんだ。どこでやってるの?」と、ぜんぜん興味ないことをアピールすることで「一般大衆とはちょっと違うオレ」を気取りたがる「トホホなインテリぶりっこバカ」。それでいてネットのどうでもいい炎上事件はチェックしてたりするわけで、知らないわけはありません。ガチで何も知らないとしたら、それはそれでボーッとし過ぎです。
本当は「無関心を装えば賢そうに見えると思ってるんだね。うわー、浅はかだなあ」と言ってやりたいところですが、なんせ浅はかなヤツなので激しく傷ついてしまうかも。それもかわいそうだし、根に持たれても面倒です。ここは、ちょっと感心した素振りで「さすが、我が道を行ってるねー」とか、相手が上司なら「勉強になります。自分はすぐ右往左往しちゃって……」と返しておけば喜んでもらえるでしょう。
逆に、熱くなり過ぎて己を見失ってしまうタイプのバカも少なくありません。こっちがうっかり「日本は予選グループの中で、FIFAランキングで最下位だからねえ。まあ、決勝に進出しろって言うのは酷かもね」なんてことを言ったとします。十分オブラートに包んだ言い方ですが、ムキになって「お前、それでも日本人か!」と罵倒してくる「安い愛国心振りかざしバカ」。期待と予想、狂信と応援の区別がまったくついていません。
本当は「何も考えずに『それでも日本人か』なんて言葉を平気で使えるお前と同じ日本人であることが、心の底から恥ずかしいよ」ぐらい言ってやりたいところですが、そういう単純なタイプに意味が通じるとは思えません。あわてた素振りで「いやいや、もちろん期待はしてるよ。そうやって熱い心で応援している人がいっぱいいるから、奇跡が起きるかもね。いや、絶対に起きるよ」とでも言っておけば、おとなしくなってくれるでしょう。
ほかに、盛り上がりに背を向けるでもなく素直に熱狂するでもなく、適当に茶々を入れるだけの「一歩引きたがりバカ」も、こんなふうにちらほらと登場します。それはそれでけっこうみっともないので、どちらかのバカになるのも大人の割り切りではあります。