現在、パ・リーグ最下位に沈む西武ライオンズの伊原春樹監督が4日、辞任することを発表した。2002年に西武を優勝に導き、07年から09年にかけては、ヘッドコーチとして巨人のリーグに3連覇に大いに貢献した伊原監督だったが、スタート時から暗雲は漂っていた。
昨年10月の西武ドームでの秋季練習の初日、伊原監督は主砲・中村にいきなり「西武鉄道の初乗り料金は、いくらか知らんだろ?」と問いかけた。中村が「知りません」と答えると、
「140円だよ、140円!」
「初乗り料金を知らないなんておかしい。みんな高い給料もらっているけど、140円から始まっているんだよ」
と述べ、社会人としてのあり方を滔々と説教した伊原監督。さらにヒゲ禁止、茶髪禁止、ダブダブなスボン禁止などが言い渡されたが、主将の栗山は「初乗り140円とは知らんかった。勉強になった」と、大人の姿勢を見せていた。
しかしシーズンが始まり、成績が奮わなくなると、伊原監督は公の場で選手に対する罵倒を連発し始める。
「勢いが出たところで、(ランサムが)バチっと断ち切ってくれた」(4月20日)
「(レイノルズに関して)無理でしょ。彼の力では日本のプロ野球の1軍は」(5月1日)
「(菊池)雄星、あきまへんな。捕手の構えたところに来ない」(5月11日)
「秋山は昼間なのにボールが見えないなんて、(中略)集中力の欠如ですよ」(5月13日)
と、取材陣を相手に選手を名指しで非難し、こうしたやり方にファンからは、
「こいついつも選手批判してんな」
「お前が使ったんやで」
「伊原が一番使えねえよ」
と、ブーイングが殺到。さらに5月16日の秋田遠征では、豪雨の中、選手たちにランニングするよう指示し、これについても、
「意味の無い根性論」
「厳しさの方向性が間違ってるだろ」
「コーチ陣は何してるんや」
と、非難の声が殺到していた。
伊原監督は、かつて野村克也氏と激しい舌戦を繰り広げたことで、野球ファンの間では知られている。その舌戦とは、当時の野村氏が監督を務めていた楽天と、伊原氏がコーチをしていた巨人が対戦し、巨人側が盗塁死で試合が終わったことについて、野村氏が、「バッカじゃなかろうか」と、暗に伊原氏を非難。その際、伊原氏は「選手が成功すれば自分の手柄にし、失敗すれば責任を他人へ押し付ける」と、野村氏のことを非難した。
しかし「失敗すれば責任を他人に・・・」というセリフは、まさに伊原氏にそのまま返したくなるようなもの。6年間監督を務めた渡辺久信氏の後を受け、チームに復帰した伊原氏だったが、確執相手に投げかけた言葉が我が身に当てはまるようでは、チーム再建は難しかったようだ。