政府が年間20万人の外国人労働者の受け入れを検討し始めた。保守派には移民政策への反対論が多い。石原慎太郎氏はどう考えるか。ここでは「移民と犯罪」について石原氏に聞いた。
──移民政策が治安を悪化させるとの声がある。現に在日外国人の犯罪が増えている。
石原:都知事時代、池袋の中国人街を視察したことがあります。中国語で書かれた同胞向けの新聞が何紙も発行されていた。その一部に目を通すと、来日して専修学校で日本語を習っている中国人向けに、「探偵募集」の求人広告がありました。日本語を習っている最中の若者が探偵の手伝いなどできるのかと質すと、実は泥棒の見張りだという。
外国人による犯罪をいかに防ぐかは大きな課題です。解決法のひとつは移民への教育です。日本の風土を愛し、法律や秩序を遵守する人材にすべく教育を施すのです。
また、不法入国、不法就労がまかり通っているから治安問題が生じていると考えることもできます。移民の制度化によって、日本の法律や秩序を遵守する、かつ優秀な人材を多く取り込むべきです。
──受け入れる日本側にも問題はないか。
石原:例えば入国管理の手続きの煩雑さなど、外国人に対する「壁」が多すぎます。
元サッカー日本代表のラモス瑠偉さんはかつて「指導者の資格を得るための試験の日本語が難解すぎる」とこぼしていた。川淵三郎さん(元日本サッカー協会会長)にその話をしたら、早速改善したようで、ラモスさんは今、FC岐阜で監督をしています。彼みたいな優秀な人材が、日本語の壁によって長く監督の道を阻まれていた。日本の閉鎖性を示す象徴的な例です。
すでに東南アジアから看護師や介護士の受け入れを開始していますが、資格を得るためには日本語で国家試験を受けねばならず、それが非常に高いハードルとなっている。平仮名、片仮名だけで受けられる試験を検討する価値はあるでしょう。
※SAPIO2014年6月号