ゴルフの松山英樹に、メジャーリーグの田中将大、ダルビッシュ有──。いま、若き日本人スポーツ選手が世界中から賞賛を浴びている。これら「20代」の「アスリート」ばかりが注目されているが、実はわれわれ日本人が知らないだけで、もっと若い世代にも世界から才能を認められた日本人は数多くいる。
筑波大学附属駒場中学3年生の米山維斗君は、15歳ながら世界から“カリスマ起業家”として認められている。米山君は小学4年生の時に全国統一小学生テストで全国1位を獲得、第14回ジュニア算数オリンピック大会でファイナリストとなるなど、小学生時代から頭脳明晰ぶりは群を抜いていた。そんな彼が、9歳の時に考案したのが「ケミストリークエスト」というゲームだ。米山君がいう。
「当時の僕は化学に熱中していて、世の中の物質が全て約100種類の元素からできているという事実に感動したんです。それをいかに同世代の友人に伝えるかというのが開発のきっかけでした」
米山君はすぐさまパソコンに向かい、元素記号を組み合わせて遊ぶカードゲームを作成。化学結合について何の知識もない友人たちが没頭するほどゲームとして完成されていた。 その後も改良を重ね、やがて「ケミストリークエスト」は内外の科学者から絶賛を受けるようになる。小学6年生のときには、父親が代表取締役、自らが社長となり「ケミストリー・クエスト株式会社」を設立。ゲームを商品化した。
「現在まで国内版のカードゲームは7万3000セットを販売、シンガポール版も1万セット出ました。iPhoneアプリは世界中からダウンロードされている。将来的には、世界大会が開かれるまで普及させて、それが子供たちが化学に触れるきっかけになればうれしい」(米山君)
とはいえ米山君はいつまでも社長を続けようとは思っていない。「将来的には有機化学の分野の研究者になりたいと思っている」(米山君)という。
※週刊ポスト2014年6月20日号