“史上最強”の呼び声高く、4年前から本田圭佑がいっている「優勝」を、本気で期待するファンも多い。読売新聞が5月28日付で、「4強 夢じゃない」との見出しをぶち上げれば、毎日新聞も5月13日付で蹴鞠の伝統とサッカーを重ね合わせ、〈ここは過去最高のベスト8以上に入って秋津島(日本の古名)に帰るという離れわざを期待しよう〉と書き、いずれも予選突破は当然と言わんばかり。テレビのスポーツ番組などでも、楽々突破できるかのような物言いばかりだ。
果たして本当にそうなのか。ジャーナリストの谷口源太郎氏は、メディアの浮かれ気分にこう活を入れる。
「スポーツ報道の現場ではナルシズムが浸透しきっている。メディア、特にテレビはそれで視聴率が稼げるので、徹底して自己愛主義を情緒的に煽っている。だから、相手チームのことをしっかり報じようとしない。現実を見れば、予選突破は厳しいと思いますよ」
では、海外から日本代表はどう見られているのか。米投資銀行のゴールドマンサックスが発表した「ワールドカップ&エコノミクス2014」という報告書のなかで、日本が優勝できる可能性は0.0%と分析している。つまり1%も望みがないということ。
それだけではない。決勝トーナメントに残れる確率も33.8%に過ぎず、ギリシャ60.6%、コロンビア59.7%、コートジボワール45.9%と比較して、圧倒的な最下位予想なのだ。ちなみに、前回の2010年の同報告書では、日本の決勝トーナメント進出の確率を44.4%としていたので、前回よりも下がっているのである。
メキシコ五輪の得点王で、日本サッカー協会の元副会長の釜本邦茂氏はこういう。
「私は悲観論者ではないが、予選リーグ敗退の可能性は高い。テレビの解説者は楽々突破とかいっているが、どこから勝ち点5を取るのか教えてほしい。W杯はそんなに簡単なものじゃない」
※週刊ポスト2014年6月20日号