国際情報

拉致被害者帰国への希望ムードに我が「隣人」韓国が水を差す

 5月下旬、スウェーデン・ストックホルムで開催された日朝政府間協議で、拉致問題が動き始めた。北朝鮮は日本人拉致被害者の再調査を約束、日本も制裁の一部を解除することで合意。拉致被害者・横田めぐみさんの父、滋氏は「解決に向けた大きな前進となると期待している」と述べ、国民にも拉致被害者帰国への希望が広がった。

 だが、このムードに水を差したのが、わが「隣人」の韓国だ。韓国統一省報道官は日朝合意に、「人道的見地から日本の立場を理解する」と述べたものの、「北の核問題を巡る日米韓の協調体制は維持されるべきだ」と釘を刺してきたのである。

 新潟県立大学の浅羽祐樹准教授(韓国政治)は、韓国側の発言の真意についてこう語る。

「朴槿恵政権の相当な焦りを感じます。『南北の統一』、そして日本と同じ拉致問題を抱える国として『拉致解決』を再優先事項に掲げ、“北の問題のメーンプレーヤーだ”と自負してきたのに、今回、韓国抜きで話が進んでしまった。今後もし日朝首脳会談という“成果”まで出されたら、面目が丸つぶれになってしまいます。

 とはいえ、無辜(むこ)の民をさらった拉致の解決にはさすがに文句はつけられないから、“日本がスタンドプレーで制裁解除すれば、北の核問題が拗れてしまうぞ”と、横やりを入れてきた。米国主導の国際社会から見れば、北の問題は『核ミサイル』、『拉致』の位置づけですから、それを利用した形です」

 韓国は今回の日朝協議がよほど気に入らなかったようで、韓国メディアにもやっかみ混じりの言葉がそこここに。例えば『朝鮮日報』(6月3日付)では、韓国政府高官の談話をこう伝えている。

〈友人のいない国同士が手をつなごうとしているわけだが、われわれが劣等感をもってこのことを見つめる必要はない。(北朝鮮の核問題に)一息つく口実を与えたという点で、前向きに評価することはできない〉

〈日本が北朝鮮に意味のある食糧援助を行うようになれば、米国が黙っているはずがない〉

 友人のいない国とはあなたのところではないか。それにお決まりの告げ口。勝手に北朝鮮と仲良くしたら、米国に言いつけるぞというのだから開いた口がふさがらない。まるでガキ大将に隠れて文句をいってくる子供のようだ。

※週刊ポスト2014年6月20日号

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン