ED患者の“福音”として、大手製薬会社ファイザーが日本で「バイアグラ」を販売開始したのが1999年。それから300万人以上の日本人男性がEDの悩みから解放されてきた。
最近、そのジェネリック医薬品が発売されたことで、価格競争を含む、ED治療薬の“大改変”が始まった──。
通常、日本で最初に発売された新薬(先発薬)には特許が認められている。特許期間中は、特許を持つ製薬会社以外が同じ有効成分で同じ効果のある薬品を製造することはできない。
しかし、特許期間が満了すれば、他の医薬品メーカーも同じ有効成分で同じ効果のあるジェネリック医薬品(後発薬)を製造し、販売できる。
バイアグラの場合、国内での特許は発売から15年たったこの5月13日に満了になった。そしてジェネリック薬品製造の国内大手「東和薬品」が厚生労働省の承認を受け、26日に“ジェネリック・バイアグラ”の発売を開始した。
患者にとって最大のメリットは、低価格で購入できること。ジェネリックを製造するメーカーは、開発コストが抑えられるため、低価格で販売することができるのだ。
現在、「本家」のバイアグラの相場は、1回分(25mg)で1300円。一方で、ジェネリックは50mgで1250円。薬品の真ん中に切れ目が入っており、簡単に半分の25mgずつに分けることができる。つまり、患者は半額以下で購入できることになった。
さらに7月以降、東和薬品に続き、数社がジェネリックを販売するという情報がある。そうなれば価格競争が始まり、もっと値段が下がる可能性が高い。
ジェネリック・バイアグラを日本でもっとも早く処方した「渋谷三丁目クリニック」(東京・渋谷)の古市昌之・副院長がいう。
「発売から1週間で、バイアグラ愛用者のうち、ジェネリック購入者が6割にものぼり、本家バイアグラの購入者を上回った。今後、値段が下がればほぼすべての人がジェネリックの処方を希望するでしょう。
そうなるとファイザーも対抗し、本家バイアグラの値段を下げる可能性もある。来年の夏頃には競争も落ち着き、ジェネリック薬は1000円を少し切るぐらいまで下がるのではないでしょうか」
※週刊ポスト2014年6月20日号