投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、6月16日~6月20日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、ウクライナ情勢やイラク情勢に警戒しつつ、連邦公開市場委員会(FOMC)でのリバースレポ(債券を担保として資金の貸し出しを行う取引)の協議などのサプライズに警戒する展開が予想される。ウクライナでの停戦協議が決裂した場合、イラクが内戦に陥った場合は、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
しかしながら、今月末に発表予定の安倍政権の新成長戦略への期待感、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待から、ドルは下げ渋る展開が予想される。
【連邦公開市場委員会(FOMC)】(17-18日)
FOMCでは、100億ドルのテーパリング(量的緩和縮小)の継続が予想されており、資産購入額は、450億ドルから350億ドルに減額されることになる。現状のテーパリングのペースでは、今年10-12月までに資産購入額はゼロとなり、利上げ開始時期と予想される2015年下半期までの幕間繋ぎとして、「リバースレポ」や利金の再投資などに関する協議に警戒することになる。
【イラク内戦リスク】
イラクでは、アルカイダ系の武装組織「イラク・シリア・イスラム国」が首都バグダッドに向けて進撃中であり、マリキ・イラク大統領がオバマ米大統領に対して空爆を要請した、と報じられている。イラクが内戦に陥った場合、原油価格が上昇することで、原発稼動停止で原油輸入の依存度が高い日本経済にはマイナス要因、貿易赤字の拡大により円安要因となる。
【ウクライナ情勢】
ポロシェンコ・ウクライナ政権と親露武装勢力との停戦協議にも関わらず、武力衝突が激化しつつある。ウクライナ東部での紛争が激化した場合、リスク回避の円買い圧力が強まることになる。
【新成長戦略での年金改革期待】
月末に予定されている安倍政権による新成長戦略では、GPIFによる外貨建て資産への投資増額観測が高まっていることで、円安要因となる。
6月16日-20日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。