米国の国家安全保障局が行っていた、インターネットなどでの情報収集や、各国大使館への通信傍受が、元CIA職員のエドワード・スノーデン容疑者により暴露され、世界中を震撼させた。
スノーデン容疑者によると日本も盗聴されていたとされているが、「ネットに限らず日本各地にさまざまなスパイが潜んでいる」と、元警視庁刑事の北芝健さんは断言する。
「世界的に有名なスパイ組織といえばアメリカのCIA、映画に登場する“007”で有名なイギリスのMI6(英国情報局秘密情報部)、イスラエルのモサド(イスラエル諜報特務庁)、ロシアのKGB(旧ソ連国家保安委員会)などがありますが、これらの団体に所属する人が、別の肩書を持ち、世界各国に潜入している可能性は高いですね」(北芝さん)
スパイの任務は、国家などの重要機密の情報収集が中心。だが、必ずしも政治や軍事にかかわることだけが狙われるわけではない。最先端技術もターゲットなのだという。
特に日本の場合は、企業、とりわけ先端技術を持った町工場もターゲットになると北芝さんは警告する。
「葛飾や日暮里にあるような町工場は科学技術に転用できる情報がたくさんあるので、狙われる可能性が高いですね。しかも、情報を仕入れるため、ハニートラップに近い手法がとられることが多いんです」(北芝さん)
ハニートラップとは、女性スパイが対象男性を誘惑し、性的関係を利用して情報を手に入れる手法だ。
「町工場の主人や職人が行く飲み屋に留学生と名乗るロシア系の白人美女が来て、近づき、“今度、工場に遊びにいっていいですか?”と訪ねる。気をよくした主人や職人は、いとも簡単に了承し、工場内を案内。しかし、その美女がロシア系スパイの手先だったということもよくありますよ」(北芝さん)
男性スパイが女性ターゲットにしかけることも当然あるが、このケース以外にも、ハニートラップは入念な計画のもと、行われている。
「この人物を落としたい、と思ったら、その人物を徹底的に調べます。女性の好みや思春期にどんなタイプの女性を好きになり、どういうふうに恋愛してきたかなど、過去に遡って徹底的に調べたうえで、好みの女性を送りこむのです。だから、海外赴任者が独身、あるいは単身赴任の場合、狙われる確率が高いのですが、仕掛けられたら、引っかかってしまう可能性が高いんです」(北芝さん)
※女性セブン2014年6月26日号