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宇野勝氏 「和製大砲」減った理由は「流し打ち称賛の風潮」

 プロ野球の和製大砲といえば、松井秀喜、小久保裕紀、金本知憲が少し前までおり、そのもっと前は落合博満、田淵幸一らの名前が挙げられるし、さらにさかのぼれば、何といっても王貞治という国民的ヒーローがいた。「和製大砲」はいつの時代もファンの心をつかんで離さなかった。しかし最近はそんな打者が見当たらない。一体、和製大砲はどこへ消えてしまったのだろうか。その原因を探った。

 元中日の宇野勝氏は、1984年に掛布雅之と本塁打王の座を分け合い(37本)、翌年には遊撃手として歴代最多となる41本をスタンドに叩き込んだスラッガー。同氏は、最近のプロ野球選手が「小さくまとまってしまっている」と口にする。

「バットのヘッドを返さず、押し付けるように打ち返すのがナイスバッティングだと誤解されているように感じる。しかしヘッドが走らないとボールは遠くへは飛びません。僕は右打者なら、速い球をレフト前に引っ張って打ってこそ理想のバッティングだと思いますが、最近はランナーを進める右打ちのほうが評価される傾向がありますね」

 確かに最近は、打者がボールに逆らわずライト方向へ打ち返すと、解説者が「ナイスバッティング!」などと称賛することが多い。

「僕はバットは当てるものではなく振るものだと思っていましたし、打撃コーチ時代にもそう指導してきました。でも選手は結果が出ないと上手にバットにボールを当てることだけに目が行ってしまうし、こうした風潮があるとそれでいいんだと思ってしまう。そうなると自然に中軸を外れることになり、チームも足りない大砲は外国人で埋めようと考える。これでは和製大砲は出てこない」

 ヤクルト・巨人・阪神で4番打者を務め、通算306本塁打を放った野球評論家の広澤克実氏も同意見だった。

「WBCや統一球などの影響で、スモールベースボールが持て囃されるようになったことも大きいと思います。振り回すよりも、コツコツ当てていく繋ぐバッティングのほうが良しとされるようになった。野球の華は、やはりホームランだと思うんですがね」

※週刊ポスト2014年6月27日号

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