TBSのアナウンサーとして定年まで勤め上げ、著書に『アナウンサーが教える愛される話し方』(朝日新書)がある吉川美代子さん(60才)。吉川さんいわく、アナウンサーにいちばん大切なのは「声で伝える技術」だと言う。
「局アナは報道からバラエティーまで担当しますが、それを支えるのはきちんとした技術です。また、政治、経済、季節の行事、スポーツ…と、このぐらい知っていて当たり前という知識が広く必要なので、いつもアンテナを張っていないといけません。
内容を理解したうえで原稿を読んでいるかどうかで、伝わり方が違いますから。それなのに、“女子アナの仕事は芸人さんにいじられること”ぐらいに思っている子が少なくない。カンペがなければ進行できない、インタビューはディレクターが書いた質問リストを順番に聞くだけ。若いうちはいいけれど、30代、40代になったら、どうなるんだろうと心配してしまいます」(吉川さん・以下「」内同)
だが、彼女たちが育たないのは、仕方がない面もあるという。
「若い女性アナは、“今日はニュース、明日はバラエティー”といったスケジュールで仕事しているので、ひとつの分野を掘り下げる余裕がないんです。また、BSやCSなどチャンネルが増えて、局アナが足りないから現場へ次々とかり出されてしまいます」
東日本大震災以降、アナウンサーの存在意義は高まったと吉川さんは指摘する。
「アナウンサーの呼びかけ次第で命を救えるかもしれない、という社会的な責任を意識せざるを得なくなった。だからこそ、若いうちに30代、40代の自分をイメージして、毎日少しずつでいいから勉強してほしい。2ちゃんねるやツイッターを見て自分の評判を気にするぐらいなら、発声練習をするなり、本を読むなり、自分に投資してほしいですね」
※女性セブン2014年6月26日号