6月6日、戦時中に日本企業に強制徴用された「元徴用工」による三菱重工、住友重機械工業、昭和電工の3社に過去最大規模の賠償訴訟が起こされたことが明らかになった。この件について弁護団が会見を行なった記者会見場では被害者やその遺族が「我々が生きているうちに日本人は謝罪するべきだ」などと報道陣に口々に訴え、韓国メディアがそれを大きく報じた。
お馴染みの反日パフォーマンスだが、先にはっきりさせておくと、この「元徴用工」を巡る問題は慰安婦問題などと同様に韓国側に道理はない。
1965年の国交正常化に伴う「日韓請求権協定」で、日本が韓国に5億ドルの経済援助を行なうことが合意された。それによって両国間での賠償は「完全に」かつ「最終的に」解決したことが両政府の間で確認されている。元徴用工問題に詳しい堀内恭彦弁護士の解説。
「戦時中に国家総動員法があった状況も考慮したうえで、すべてを解決しようとしたのが日韓請求権協定です。個人の請求権も含まれていたのは当然で、外交資料によると、協定締結の交渉過程で日本側が『元徴用工の名簿を出してもらえれば個別に補償する』と申し出たところ、韓国側が『個別の補償は韓国政府が行なう』と返答した経緯があるのです」
つまり韓国側は当時、「個人賠償はこちらでやるから、カネはまとめて政府に渡せ」と求め、日本政府はそれに応じたのだ。ちなみに当時の韓国大統領は朴槿恵・現大統領の父、朴正熙氏である。今になって「やっぱり個人賠償しろ」というのは図々しい二重取りに他ならない。
にもかかわらず2012年5月、韓国の大法院(日本の最高裁に相当)は「反人道的な不法行為である強制徴用は日韓請求権協定の適用外」などの理屈で、元徴用工の個人請求権を全面的に認めた。それを受け、昨年にはソウル高裁や釜山高裁で新日鉄住金、三菱重工に元徴用工への賠償を命じる判決が相次いだ(両社は大法院に上告中)。
「明らかに国家間の協定を反故(ほご)にするもので、本来あり得ない。どうしても元徴用工に個人補償するならば、韓国政府が行なうのが当然」(前出・堀内弁護士)
彼の国には法理も国際常識も通用しないのだ。
※週刊ポスト2014年6月27日号