会社ロゴマークは企業と消費者をつなぐ接点であり、事業哲学と経営戦略が込められた看板だ。どのマークにも、経営者たちの熱い思いや知られざる物語が存在する。
力強さを漂わせるスズキの「S」マーク。同社のロゴマークのデザインは美術系の大学生から募り、300点余りの候補のなかから選ばれたのが、当時東京芸術大学に在学していた手銭正道氏(故人)の作品だった。
手銭氏といえば、後に新幹線700系の車両デザインなども手がけた工業デザイナー。そんな名デザイナーが学生時代に手がけた「S」マークは1958年から現在まで変わることなく使用されている。四輪車と二輪車を柱に躍進する同社の思いがギュッと詰まったマークといえるだろう。
※週刊ポスト2014年6月27日号