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羽生結弦 「23歳で引退」宣言の裏に被災地に対する無力感

 6月13日、14日、羽生結弦(19才)の地元凱旋公演となるアイスショー『Together on Ice~明日へつなぐ氷上の共演~』が、宮城県仙台市のゼビオアリーナ仙台で開催された。

 会場に詰めかけた羽生のファンは、今回のアイスショーに特別な思いを抱いていた。それは6月6日に発売されたスケート専門誌『フィギュアスケートDays vol.18』(ダイエックス出版刊)で羽生がこんな発言をしていたからだ。

《僕、23歳でやめようと思っているんです》──突然の引退宣言。そのインタビューはこう続く。

《ハーフハーフではない。結構ガチですね。平昌(ピョンチャン)までしっかりとがんばる。そのあとはまだ漠然としていて具体的に何をしたいっていうのはないんですが》

 なぜ今このタイミングで引退時期を明言したのか、そして23才で引退しなければならない理由について、このインタビューでは明らかにされてはいないが、あるスケート関係者が羽生の胸の内をこう説明する。

「ソチ五輪では金メダルを獲りましたが、その一方で“無力感”も味わったといいます。羽生の“無力感”とは、地元仙台をはじめとする被災地に自分が何もできていないという自責の念なんです」

 3年前の3月11日、午後2時46分。羽生は仙台市内にあるスケート場『アイスリンク仙台』でその時を迎えた。数えきれぬ人が亡くなり、家族と訪れた大切な場所が壊滅的な被害にあった。16才の羽生は何度も競技を辞めることを考えたが、出した答えは続けることだった。

「きっとすごく気持ちのこもった演技ができたら、本当に何かを伝えることができるはず」

 羽生はそう自分を奮い立たせ、震災から10日後に、神奈川のスケート場で練習を再開させた。その後の活躍は知っての通り。GPファイナル、ソチ五輪、世界選手権と史上2人目の三冠を制した。だが、羽生の“無力感”は深まっていくばかりだったという。

「羽生の金メダル獲得は仙台にとってもちろん嬉しいニュースでした。でも、復興はまだまだ先が見えない状態。しかも、ボランティアの数も募金も時が経つにつれて減っていく。競技者として復興にかかわっていくことの限界を感じてしまったんです。

 具体的に何をするかはまだ模索している段階のようですが、プロスケーターになってアイスショーなどで得たお金を復興に回すことなどを考えているそうです。だからこそ、羽生にとって収益の一部を復興にあてることになっている今回のアイスショーには特別な思いがあったんです」(前出・スケート関係者)

※女性セブン2014年7月3日号

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